中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

大都市の女性は、地下鉄よりもライドシェアが好き

調査会社「極光」は、ライドシェアのアプリ利用履歴統計をまとめた「網約車App研究報告」を公開した。これによると、ライドシェアがすでに生活の中に溶け込んでいることが明らかとなった。特に大都市の女性によく利用されている。

 

スマホで呼ぶライドシェア+タクシー=網約車

日本では一向に進まないライドシェアだが、中国ではすでに生活の中に組み込まれている。一般のマイカー所有者が小遣い稼ぎに自分の車を運転し、客を乗せるライドシェアと、既存タクシーをGPS情報を利用してアプリで呼べるネットタクシーを総称して「網約車」(ネットで予約する車)という新しい言葉も生まれている。

日本人の感覚だと、タクシーは「時間で借りる運転手つき専用車」だが、中国人は単なる公共交通機関という感覚でいる。そのため、以前から相乗りを普通にやっていた。先客の目的地近くになると、次の客がいたら乗せてしまうのだ。2組の客の料金が公平になるような地点でいったんメーターを切り直す。先客も後客も、わずかだが料金が安く済む。運転手はロスタイムなく次の客を乗せることができる。三者ウィンウィンの方法なのだ。知らない客同士がしばらくの間、同じタクシーに乗ることになるが、中国人は気にしない。それどころか、知らない人と楽しくおしゃべりができて楽しい経験であるとすら感じている。

このような感覚があるため、ライドシェアに対する抵抗感というのは極めて低かった。

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よく使う交通機関は、バス、網約車、地下鉄の順

外出するときに、よく使う交通手段を尋ねると、網約車(ライドシェア+ネット予約タクシー)はもはやバスに次ぐ第2位になっている。地下鉄よりも多いのだ(地下鉄は一級都市と呼ばれる大都市のみで、地下鉄がない地方都市も多い)。

年齢別に見ても、網約車は45歳から54歳でもよく使われている。一般タクシー(路上で拾うタクシー)を使う人はほとんどいなくなっている。

中国のある程度の規模の都市では、もはや路上でタクシーを拾うことはできない。タクシーはたくさん走っているものの、ほとんどすべてネット予約されていて、止まってくれないのだ。乗れるのは、駅や空港などのタクシー乗り場ぐらいで、それ以外の場所はタクシーに乗れないものと思って行動計画を立てないと酷い目に会う。あらかじめ網約車のアプリを使えるようにしておくか、でなければ、利用したホテル、レストランのスタッフに頼んでタクシーを呼んでもらうしかない。

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▲よく利用する交通手段(複数回答あり)。すでにライドシェアがバスと同じくらい利用される交通手段になっている。

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▲年齢別の交通手段。網約車は中高年にも広く使われている。55歳以上は昔の習慣で、バスと地下鉄を主な交通手段としている。

 

世帯収入が中以上の層に広く普及

世帯月収が1万元(約17万円)以下、3万元(約50万円)以下、以上で網約車の利用頻度を見てみると、世帯月収が少ない層では確かに利用回数が目立って少ない。しかし、1-3万元、3万元以上を比べてみると、大きな違いはない。つまり、網約車は経済滴に余裕のある人が使うものというのではなく、ごく一般的な庶民にも浸透していることがうかがわれる。

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▲世帯月収の高中低による比較。低収入家庭では網約車の利用頻度は低いが、中と高の家庭では利用パターンがさほど変わらない。網約車が広い層で使われていることがわかる。

 

女性は地下鉄よりも網約車

また男女の比較をしてみると、網約車を利用するのは女性が多い。また、女性は地下鉄を嫌い、バスを好む傾向がある。理由は報告書では明らかにされていないが、地下鉄はラッシュ時にはかなり混雑する。近年は痴漢被害が社会問題になっていることや、女性はバッグや紙袋を持っていることが多いので、混雑を避けたいと考えるのかもしれない。バスは、主要路線では3分から5分おきにくるので、混雑していても1台待てば座れることが多い。

一級都市(大都市)と二級都市(地方都市)で比較をすると、一級都市では地下鉄と網約車が多くなり、二級都市ではバスと自家用車が多くなる。

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▲男女の比較。女性はバスと網約車を好む。地下鉄の混雑を避けるためではないかと推測される。

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▲一級都市と二級都市の比較。大都市では地下鉄と網約車が好まれる。

 

圧倒的に評判がいい最大手の滴滴出行

主な網約車ブランドでの満足度調査では、最大手の滴滴出行が圧倒的に評判がいい。中国でもウーバーはサービスを展開しているが、すでに滴滴出行に買収され、順次滴滴出行ブランドに吸収されていく予定だ。

中国では網約車は完全に公共交通機関のひとつになっている。そもそも中国は、交通料金を意図的に安く抑える政策をとっている。バスが3元、地下鉄が5元、タクシーは市内20元、ライドシェアは15元というのが相場だ。バス、地下鉄と比べて、網約車の価格がさほど高くないのだ。また、街の作りが大きいため、目的地に行くには地下鉄の駅から15分も歩くということも珍しくない。これで2人、3人で行動するなら、網約車はむしろ安上がりになる。

これにプラスして、「最後の1km」では、シェアリング自転車もよく利用される。20年前、中国の庶民の外出はバスに乗って、後は歩くという手段が一般的だった。それから比べると、短い間に交通手段が大きく変わっていることがわかる。

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▲網約車各ブランドの満足度。最大手の滴滴出行が図抜けて満足度が高い。

 

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滴滴出行は、ショッピングセンターなどに乗り場の設置を進めている。スマホがなくても、滴滴出行にユーザー登録していなくても利用できる。また、中高年の間では、どの車が滴滴出行なのかを見つけるのが煩わしいという人もいて、そのような問題もこの乗り場で解決できる。

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