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北朝鮮で公衆WiFiサービスが始まっていた

国際的にさまざまな問題を起こしている北朝鮮平壌空港の出発ロビーで公衆WiFiサービスが始まったとAP通信が報じた。AP通信北朝鮮担当の記者エリック・タルマッジが体験した。

 

ネットアクセスが制限されている国、北朝鮮

北朝鮮は、世界でも最もネットアクセスが制限されている国のひとつだ。北朝鮮市民は、WiFI接続が可能な機器を携帯しているだけで、罰金か、最悪の場合拘束される危険性がある。

外国人の場合は、このような制限はないが、そもそもWi-Fiどころか、インターネット回線が大きく制限されている。公衆WiFiサービスなどどこにもなく、ホテルや空港に有料の有線ネットサービスがあるのみ。アクセスできるサイトは大きく制限されている。詳細はわからないが、特定のサイトへのアクセスを遮断するブラックリスト方式ではなく、政府が認めたサイトにしかアクセスができないホワイトリスト方式の制限であると推測されている。

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平壌空港の出発ロビー。一応売店などもある。有線のインターネットコーナーは2015年から設置されていたが、最近、WiFiサービスが始まったという。

 

平壌空港にWiFiコーナー誕生

ところが、平壌空港の出発ロビーのインターネットコーナーに突如WiFiのロゴが掲示をされ、話題を呼んでいる。

宣伝のための風船も飾られ、エリック・タルマッジによると、この風船はプエルトリコの空港で使われていた風船と同じものだという。

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平壌空港出発ロビーのインターネットコーナー。どうやって使ったらいいかがわからず、利用する人はまったくいない。

 

料金は30分2ドル、カフェでも利用可能

このインターネットコーナーは、外国人旅行者のために2015年から設置されているが、利用する人はほとんどいない。なぜなら、説明員もいないので、利用料金を誰にどうやって支払ったらいいかがわからないからだ。近くを通りかかる職員に尋ねても、首を振られるか、怖い目で睨まれるだけだ。

しかし、WiFiロゴが掲示されて、まったく雰囲気が変わった。女性の担当者がインターネットコーナーに常駐し、そばを通りかかる人に笑顔で公衆WiFiの利用を勧めてくる。その女性によると、30分で料金は2ドルだという。

料金を支払い、パスポートを見せると、引き換えにユーザー名とWEPキーが書かれた紙が渡される。係員の女性によると、WiFiルーターはインターネットコーナーではなく、カフェに設置しているので、カフェで利用した方が電波状況は良好なはずだという。

 

結局つながらないWiFiサービス

ところが、どうやっても接続することができず、タルマッジは結局ネットを利用することができなかった。しかし、担当者は親切で、接続設定を変えながら、何度もトライするのを手伝ってくれた。さらに、上司に連絡を取るなどしたが、飛行機の出発の時間となり、結局、アクセスすることをあきらめた。担当者は、申し訳なさそうに利用料の2ドルを返却してくれたという。

結局、アクセスできなかったので、どのような制限が書けられているかを確かめることはできなかったが、北朝鮮もゆっくりではあるが、変わり始めている。

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