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独身の日セールから1週間。疲弊する宅配便配達員の1日

大盛り上がりだったECサイトのセール「独身の日」。この日1日だけで、10億件を超える宅配便が発送されたという。宅配便の配達員は、一年で最も忙しい日を迎える。今日頭条に、配達員の一日を密着したレポートが投稿された。

 

今年30歳になる郝路軍(かく・ろぐん)は、山西省晋城市の郵政宅配便の配達員だ。炭鉱で5年働いた後、郵政の宅配便配達員となった。11月11日、郝路軍の一年で最もハードな日が始まった。

 

朝6時、まだ薄暗い中、郝路軍は起床して、手早く朝食を済ます。6時40分には、出社をし、1日の仕事が始まる。

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郵政の配送車が到着すると、配達員が群がって、自分の受け持ち地区の荷物を受け取っていく。郝路軍は言う。「この仕分けがいちばん重要な仕事です。荷物を受け取りながら、どの地区に何軒の荷物があるのかを把握し、頭の中で、最も効率のいい巡回ルートを描き出します。それに従って、後で届ける荷物は下に、先に届ける荷物を上に積んでいかなければならないのです」。

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積んだ荷物はすべてQRコードを読み込み、コンピューターに登録をしなければならない。8時、ようやく準備が終わる。この日、郝路軍は午前中に126件の配達をしなければならない。これは普段であれば、1日の仕事量だ。郝路軍はすでに焦り始めている。

9時半、郝路軍は路肩に三輪車を止め、配達先の家庭に電話を入れる。不在の家に届けるのは無駄な時間を取られるので、在宅であることを確かめてから配達するのだ。「時は金なりです。毎日100件から200件の宅配便を配達します。1つの荷物で1分余計に時間を使うと、1日で、1時間、2時間の無駄な時間になってしまうのです」。

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不在であっても電話に出てくれば、郝路軍は大いに助かるという。「相手の了解を得た上で、ドアの前に置くということができるからです。不在であって電話にも出ないとなると、持ち帰り、翌日再配達をするしかありません」。

 

11時、いよいよ郝路軍の受け持ち地区で、最も難関な地区に差し掛かった。5階建ほどのマンションが並ぶが、古い建物であるため、エレベーターがないのだ。まず下から電話をかけて、在宅であることを確かめてから、荷物を持って階段を登る。息が上がって、郝路軍の1日分のヒットポイントは、ここでほとんど残りがなくなる。

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宅配便は、なぜかこういった建物の4階、5階宛のものが多い。そこに住んでいる人も、重い荷物を自分で買ってきて、階段を上るのが嫌なので、ECサイトに注文するのだ。100件の荷物が、平均3階だとすると、郝路軍は1日で300階を登って、300階を降りることになる。

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12時50分。まだ数十件の配達が残っているが、朝食を食べた時間が早く、水しか飲んでいないので、昼食をとることにする。配送センターでは昼食を支給してくれるが、センターまで戻る時間がもったいない。そこで、近所の料理店に入り、麺を食べる。

郝路軍はびっくりするほどの早食いだ。なぜなら、午後2時をすぎると、配達の効率がぐっと下がってしまうからだ。この辺りの家庭では、遅い昼食を食べた後、午後2時頃から昼寝をする家庭が多い。昼寝中は、出てきてくれないし、電話をしても出てくれない。たまたま出てくれても、文句を言われることもある。

配達員としてはできれば避けたい時間帯だ。いつもであれば、昼食をとってから1時間ほどは休憩する。しかし、今日は昼食の時間が遅れたこともあり、休みを取らずに、残りの配達を始めた。

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午後2時30分、残りの配達を終えて、いったんセンターに戻った。しかし、郝路軍には休憩する時間はなかった。なぜなら、もう午後の配送車が到着しているからだ。午前と同じように、配達員が群がって、自分の受け持ち地区の荷物を仕分けしていく。郝路軍は、午後分として100件の荷物を受け取った。

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午後4時、郝路軍はようやく配達の準備が終わり、配達に出かける。通常時の退社時間である午後6時までに配達を終えるのはまったく不可能。今日は、遅くまで残業をせざるを得ない。

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午後7時、配達はまだ終わらない。終えるのは午後10時ぐらいになりそうだ。この時間に帰宅をすると、自分の子どもはすでに寝ている。独身の日から1週間、子どもの寝顔しか見られない日が続く。

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午後9時、ようやくすべての配達を終える。伝票の整理をして、帰宅をすると、午後10時を回っている。子どもはすでに寝ていた。夕食をとっていない郝路軍は、妻に簡単な麺を作ってもらい、流し込むように食べて、シャワーを浴びて寝る。明日も、朝6時に起きて、配達をしなければならない。

それでも、配達は遅れがちで、荷物を届けると、面と向かって文句を言われることも多い。まったく割りに合わない仕事だが、郝路軍は疲れた顔で言う。「仕方ありません。いい仕事だと思っています。家族を養うために頑張らなければ」。

独身の日のセールでは、妻もいくつもの商品を注文した。その商品は、郝路軍の仲間が配達をしている。矛盾を感じながらも、郝路軍は今日も三輪車に乗って、荷物を配達し続けている。

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