中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

盛り上がりに欠ける中国のブラックフライデー

中国では、ECサイトのセールとして「独身の日」が有名になったが、輸入商品を主体にする越境ECサイトではブラックフライデー(11月の第4金曜日)にセールを行う。しかし、独身の日に押されて、ブラックフライデーはなかなか盛り上がらないと中国経営報が報じた。

 

中国の独身の日vs米国のブラックフライデー

小売店のセール時期は、以前は、伝統的な文化に根ざしていた。欧米のクリスマスセールや日本の初荷、福袋など、一応の文化的な理由付けがある。しかし、最近のセール時期は、そういったものとは無縁で、多くが小売店側の都合による者だ。

その中でも有名なのが、中国の「独身の日」と欧米のブラックフライデー(11月の第4金曜日)だ。

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▲「双11」という言葉は、アリババが権利を持っているので、他のECサイトは「11.11購物狂歓節」(買い物肉類喜ぶ祭り)という言葉を広めようとしている。

 

大学生の遊びから始まった「独身の日」

中国では、クリスマス、年末というのは国民的なイベントではない。カレンダー上は、西暦を使っているが、未だに新年は2月から3月の旧暦の正月である春節だ。中国人の気持ちの中では、春節がこないと新しい年になった気になれない。

そのため、小売店は夏から春節までの半年間、セールス的には厳しい時期を迎える。夏を過ぎれば冬物が売れるが、それ以降、売上はパッとしない。

2009年、アリババは11月11日の光棍節に目をつけた。光棍節は、「棒だけの祭日」という意味。南京大学の学生たちが、ジョーク交じりに始めたお祭りで、1が4つ並ぶことから、「独身者が集まって騒ぐ日」とした。当時、スマートフォンもまだ普及してなく、ECサイトを使うのはパソコンを持っている若者が多かった。そこで、アリババは「この日に自分へのご褒美を買おう」というセールを行った。当初は数十店舗しか参加しないささやかなセールだったが、スマートフォンの普及とともに急成長。今年は1日で約2.8兆円を売り上げる狂乱の日になった。ちなみに日本のアマゾンの年間の売り上げが約1.1兆円、その狂乱ぶりがわかる。

アリババは「双11」と呼んでいるが、他のECサイトも参加、「購物狂歓節」(買い物に狂い喜ぶ祭り)というネーミングが定着しかかっている。

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感謝祭の売れ残りセールだったブラックフライデー

一方、米国では、11月第4金曜日のブラックフライデーが最大のセールス日となっている。現在は、クリスマスセールよりも、こちらに力を入れている小売店が多い。本来は、前日の11月第3木曜日の感謝祭でのセールで売れ残ったものを格安で販売する日だった。それが次第に本格的なセールの日となり、大勢の人出があり、道路が渋滞するまでになった。それで、警察から「最悪の一日」という意味で、ブラックフライデーと呼ばれるようになったという説もある。あるいは、小売店から見て、「黒字にできる日」という意味でブラックフライデーになったという説もある。

いずれにしても、ここからクリスマス商戦になだれ込んでいくことになり、そのスタートセールであるブラックフライデーは、米国の小売店にとって重要な日になっている。

 

独身の日か、ブラックフライデーか。悩む中国のECサイト

中国の各ECサイトは、この独身の日に参加すべきか、ブラックフライデーに参加すべきかを迷っている。アリババのT-mallは独身の日を主導するが、アマゾンチャイナは他国のアマゾンに合わせてブラックフライデーを主導するからだ。一般に、国内製品を主体に売る京東などは独身の日にセールを行うが、アマゾン、カオラー、ヤマトなどの越境ECサイトと呼ばれる輸入製品を多く扱うECサイトブラックフライデーにセールを行う。

アマゾンチャイナは、プライム会員数がすでに1500万人いて、決して無視できない勢力になっている。

 

先に訪れる独身の日は大盛況、ブラックフライデーは盛り上がらない

しかし、問題は独身の日が11月11日で、ブラックフライデーの11月第4金曜日よりも先に行われるという点だ。独身の日が、「購物狂歓節」と呼ばれるほど盛り上がりすぎて、ブラックフライデーには消費者が疲弊してしまっている。今年、独身の日の売り上げは、T-mallが1682億元(約2.8兆円)、京東が1271億元(約2.1兆円)と驚異的なものだった。

同時に、米国ではブラックフライデーを前倒しして始めるようになってきている。ライバルに勝つために、より早くブラックフライデーセールを始めてしまうのだ。これに追従して、中国内のブラックフライデーも早まる傾向がある。ますます、独身の日とブラックフライデーの間の期間が短縮され、消費者の疲弊の影響が現れやすくなっている。

特に今年は、独身の日が大盛り上がりだったため、ブラックフライデーはその分地味になってしまった。中国政府は、輸入消費を奨励していて、一部の輸入品の関税を17.3%から7.7%に下げる措置を行った。しかし、中国のブラックフライデーはもうひとつ盛り上がりに欠けたようだ。

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