中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ビッグデータで明らかになった「イマドキの中国人は紅茶を飲む」

中国では多くの人がさまざまな種類のお茶を飲む。その中でも青茶として珍重される茶葉を産出するのが、福建省武夷山だ。その武夷山で、2017年福建茶業ネット発展フォーラムが開催され、中国IT企業の百度ビッグデータに基づいた中国人の茶の嗜好を公表した。それによると、中国人の茶の嗜好も年とともに変わりつつあることがわかった。

 

昔、緑茶。今、紅茶。変わる中国人の嗜好

「中国人はみんな烏龍茶を飲んでいる」と言うと、「それはまったくの間違い。いちばん多く飲まれているのは緑茶です」と言う人がいる。10年前であれば、それは正しかった。しかし、今では最も人気があるのは紅茶で、次がプーアール茶、その次が烏龍茶になっている。中国人も生活が変われば、飲むお茶も変わっていくのだ。このような意外な事実を、百度ビッグデータが明らかにした。

 

紅茶、黒茶、烏龍茶が躍進。緑茶は減少

百度がデータの基礎としたのは、検索回数。茶に関連する検索回数は、毎日15万回で、2014年と比べるとほぼ2倍になっている。

検索回数が多いというのは関心が高いということで、必ずしも関心の高いお茶を飲んでいるとは限らないが、検索回数だけで見ると、紅茶が圧倒的に多い。また、紅茶、黒茶(プーアール茶)、烏龍茶は、年々検索回数が増えているが、緑茶は検索回数が減っている。

紅茶で関心が高い品種は正山小種。香りの強い中国紅茶だ。また、黒茶ではプーアール茶も検索回数を伸ばしているが、安化黒茶の伸びが大きい。烏龍茶では大紅袍。一方で、緑茶で有名な龍井茶、碧螺春などは検索回数が減少している。

検索回数が伸びている正山小種、安化黒茶、大紅袍は、生産量が少なく、オークションなどでも高値で取引されることから、ひょっとしたら“関心”の中身は、飲みたいからではなく、投機をしたいからかもしれない。龍井茶なども最高級のものは、庶民が手を出せないほど高価だが、安価な茶葉でもじゅうぶん美味しいものが豊富にあるため、あまり投機の対象にはなっていない。

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▲「中国人は緑茶を好む」というのが、日本でも中国でも常識だったが、その常識は変わりつつある。緑茶の人気は下降し、今では紅茶がトップに躍り出ている。

品種ごとのペルソナも描き出すビッグデータ

百度ビッグデータは、お茶をネットで検索する人のペルソナまで描き出している。それによると、茶を検索する人は、職場の中で中堅として力を発揮し、スポーツが好きで健康的な生活をしている。不動産と自動車に興味があり、余暇には友人と王者栄耀(スマートフォンのバトルゲーム)や酒、お茶を楽しむ。

さらに、このペルソナは、品種ごとにも分析されている。烏龍茶の元となった岩茶の代表的品種である大紅袍を好む人は、スポーツが好きで、書画骨董の収集が好きで、酒を愛する。プーアール茶などの黒茶を好む人は、教育、自動車、ファッション、芸術に関心がある。またグルメでもあるという。

また、大紅袍が好きな人は、プーアール茶が好きな人よりもピンポンを好み、黒茶が好きな人は、その他のお茶が好きな人よりもスマホゲーム「王者栄耀」が好きという面白いデータも紹介された。

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百度が公開した資料より。現在では紅茶への関心がいちばん高い。紅茶、黒茶、烏龍茶への関心は年々伸びている。一方で、龍井茶などに代表される緑茶への関心は年々下降している。

 

生活スタイルとともに変わっていくお茶のスタイル

中国人のお茶の嗜好は、生活スタイルが急激に変化するにつれて、激変しようとしている。水筒のような器にお湯と茶葉を入れて龍井茶を飲むというのが、北方の中国人の定番だったが、マンションで暮らす人が増え、ダイニングテーブルでお茶を飲む習慣が広まるにつれ、西洋式の紅茶を好む人が増えていっている。

茶業界は、ただやってくるお客さんに茶葉を売るだけでなく、こういったビッグデータを利用して、そのペルソナから積極的に広告やプロモーション活動を行っていくことが重要だと、参加した茶業界関係者は認識したという。業界人にとって、中国人にとってなによりも好まれているはずの緑茶の人気が下降しているということは大きなショックだったようだ。

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