中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ついに猫までシェアリング。シェア猫アプリが大人気

中国でペットと言えば、圧倒的に犬が人気だったが、ここへ来て、猫好きの人が目立つようになった。自由で気ままな猫と遊ぶことによって、癒されるのだという。町猫と遊ぶことができるシェア猫アプリがいくつも登場して話題になっている。

 

 

意外に大切にされている中国の猫たち

中国の都市は、意外に猫が多い。繁華街にはさすがにいないが、静かな住宅地、公園、古い町並みなどにはけっこう町猫がいる。近所の人が餌をやっているのだと思われ、丸々と太って幸せそうな猫も多い。

熾烈な競争社会である中国でも、最近は疲れる人が多いのか、そういう町猫を探して歩く人が増えているという。猫と遊ぶことは「吸猫」と呼ばれ、「吸う」には「雰囲気を楽しむ」というような意味がある。

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▲アプリ利用者が投稿して、猛烈に拡散した猫の写真。

 

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▲中国でも、猫写真は大人気で、SNSにはいくつもの猫写真を交換するグループがある。

 

現在地周辺の町猫が検索できる「大衆吸猫」アプリ

このような猫好きの人のために、町猫探しのスマートフォンアプリがいくつも登場している。「大衆吸猫」アプリでは、検索をすると、現在地周辺の町猫がリストされ、地図を頼りに猫を探すことができる。SNS機能も備わっており、猫と遊んで写真を撮って、投稿する機能もある。

さらに一歩進んで、日本の地域猫のような考え方を取り入れたアプリも登場して、「これはシェアリング猫だ!」と話題になっている。

現在、ベータ版の公開が始まったアプリ「吸猫」では、利用するのに299元(約5000円)のデポジットを支払う必要がある。この資金を元に、猫のエサを購入し、登録されている猫を管理している人に送ろうという試みだ。

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▲猫検索アプリ「大衆吸猫」。試験のプレッシャー、不眠症、失恋などに疲れた時に、猫に癒してもらうというコンセプトだ。

 

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▲「大衆吸猫」の検索結果。現在地周辺の町猫、飼い猫が検索される。それぞれ評価やコメントをつけることができる。




日本の地域猫と似た試みのシェアリング猫

ペットの飼育については、省、市などによって規定が異なるが、犬に関しては厳しい規則が定められているものの、猫に関しては規定されていないことが多い。そのため、自宅で飼う場合はともかく、なんとなく居着いてしまった町猫に関しては、誰かが餌を与えて、面倒を見ている。しかし、繁殖して数が増えすぎたり、面倒を見ている人が高齢になり世話ができなくなるなどの理由で、地域で問題化することも増え始めている。

問題点は、日本の野良猫と同じで、餌代、去勢費用を誰が負担するのかという問題と、管理者が明確でないために、人の花壇を荒らすなどの問題を起こした時に、対応のしようがないということだ。市によっては、市民からの通報で、野良猫を保護し、殺処分せざるを得ない地域も出てきている。

シェアリング猫は、このような猫を保護しようという試みだ。アプリに猫を登録する人が責任者となり、猫の管理を行う。一方で、アプリ経由で集められたデポジットや寄付などの資金によって購入された餌などを受け取ることができる。

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▲シェアリング猫アプリ「吸猫」の検索画面。地図上でどこにシェアリング猫がいるかが表示される。もちろん、その場所に行ったからといって、すぐに猫を見つけられるかどうかはわからない。

 

中国でも増え続ける猫好き

このようなシェアリング猫の試みが、軌道に乗るかどうかは難しいところだが、利用者によると、アプリに投稿される猫の写真を見ていると、ついつい寄付をしてしまいたくなるということなので、意外に簡単に軌道に乗り、地域猫の新しいモデルとなるかもしれない。

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▲「大衆吸猫」のコメント欄。「スーパースーパー萌え萌え!帰宅時に出会うと、疲れが吹っ飛びます。吸吸吸吸吸吸!近くの犬のように通勤する人にうってつけ。でも、猫が休んでいるのを邪魔しないように気をつけて」。「何度遊んでも遊びきれない。めちゃ萌える!猫と遊ぶ順番を待っていた時に、今の彼女と知り合ったよ。ありがとう猫大王!」。