中国のスマホ決済の主流となっているのがQRコード方式。QRコードは決済だけでなく、さまざまな目的で使われている。あるレストランで、このQRコードを巡って、来店客とトラブルになったと環球網が報じた。
レストランのチップもスマホ決済
中国でのアリペイ、WeChatペイは、対面決済金額の40%以上を占め、都市部ではすでに現金を持たない人の方が多いくらいになっている。そのため、あらゆるものがスマホ決済に対応するようになり、それがますますスマホ決済の利便性を高めていくという好循環が生まれている。
例えば、レストランのスタッフに対するチップだ。中国の伝統的なレストランでは、テーブルごとに担当がつくことが多い。この場合、サービスに納得をすれば、その担当に3元から10元程度のチップを渡す習慣がある。そのようなレストランでは、テーブル会計が一般的なので、お釣りを持ってきたもらった時に、そのお釣りの中からチップを渡す。
しかし、現在では、このテーブル会計もスマホ決済になっている。担当が、レストランのQRコードを印刷したカード、あるいはハンディスキャナーを持ってきて、その場で決済をしてしまう。お釣りが出ないので、チップの渡しようがない。そこで、最近では、ウェイトレス、ウェイターが、自分個人のQRコードを腕などにつけていて、チップもスマホ決済で渡せるようにしているところが増えてきている。
▲スマホ決済になり、チップがもらいづらくなったレストランでは、スタッフが腕にチップ用のQRコードをつけている店も登場している。
QRコードTシャツをジョークで使ったレストランが炎上
江蘇省南京市のあるレストランでは、QRコードをジョークに使ったことで、客とトラブルになってしまった。ホールスタッフが、冗談で「料理が遅いと文句を言うなら、まずは5元をスマホ決済」という文字とQRコードがデザインされたTシャツを着ていたことが問題になった。
中国のレストランで最も多いクレームは「注文した料理が出てこない」というもので、それをジョークにしたTシャツだったが、まずいことに、本当に料理がなかなか出てこなかった。もちろん、料理が出てこないからといって、スマホ決済によるチップの支払いを求めるようなことはしていないが、これを不快に思った客の一人が写真を撮り、「このようなことは工商局に通報すべきだ」とコメントをつけ、SNSで公開したことから、問題が大きくなった。
ネット民たちは、そのレストランを特定し、このジョークに対して、さまざまな意見が飛び交った。レストラン側は「あれはジョークです。まさかこんな誤解を生むとは思っていませんでした」と釈明する事態になった。
▲SNSにあげられて炎上した某レストランの写真。Tシャツには「料理を催促するのであれば、先にスマホ決済を」と書いてある。店側ではあくまでもジョークだと主張したが、本当に料理が出てこない客が怒ってSNSにあげた。
繁華街や地下鉄に現れるQRコード美女軍団
この他にも、街を歩けば、QRコードを身体につけた人を見かけることができる。QRコードはスマホ決済だけに限らず、ウェブサイトへのリンクにも使えるし、SNSのアドレス交換にも使われる。そのため、美女集団を雇い、QRコードのついた服装で街を歩かせ、QRコードをスキャンしてもらうという広告手法もすっかり定着した。QRコードをスキャンすると、その商品のキャンペーンサイトが現れるというものだ。
また、大学生たちは、社会活動の支援者を増やすためにQRコードを利用している。貧困児童を救う活動、公共空間を清潔にする運動などを主宰する大学生たちは、QRコードを持って、地下鉄に乗り、乗客に運動の内容を説明する。同意を得た乗客には、QRコードをスキャンしてもらい、自分たちのSNSアカウントをフォローしてもらったり、あるいはスマホ決済で寄付金を募ったりしている。
このような手法で、実際にQRコードをスキャンしてもらえる人数というのは大した数ではないが、その活動自体が、必ず誰かが面白がり写真を撮って、SNSで拡散する。この効果が大きい。
QRコードは日本ではやや時代遅れになってしまい、あまり使われなくなっているが、中国ではスマホ決済に使われたことによって、QRコードが身近になり、さまざまなことに活用されている。
▲繁華街には、QRコードをつけた美女軍団が出没する。QRコードをスキャンしてキャンペーンサイトにアクセスできる他、美女の写真を撮ったり、頼めばツーショット写真も撮らせてくれる。
▲QRコードは街頭広告にもよく使われる。美女のTシャツにQRコードがプリントされていて、スキャンするとキャンペーンサイトに飛ぶ。話題性があるために、SNSで拡散したり、メディアに取り上げられることが多い。
▲QRコードによる宣伝はさらに過激になり、太ももにQRコードをつけた美女軍団も登場する。オタク系男子は、喜んで太もも写真を撮影していく。