中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

犯人はドローンで追跡、顔認証で逮捕前に身分割り出し。SF映画のような華強北派出所

深圳市の電気街「華強北」は、中国で最初に5Gがカバーされた地域。華強北派出所では、5Gを利用したSF映画のような捜査が行われている。防犯カメラ、ドローン、白バイの映像をリアルタイム共有し、逮捕前に顔認証で犯人の身分を割り出してしまうものだと南方Plusが報じた。

 

5G通信を利用する深圳市華強北派出所

中国深圳市の華強北(ホワチャンベイ)と言えば、中国の秋葉原とも呼ばれる電気街。しかし、その規模が違う。南北930m、東西1560mの地域が中心で、人口は10万人、商店は5万軒もあり、従業員が20万人。1日の売上は1億元(約15億円)を超えるという巨大電気街だ。

2019年末に、華強北が5Gエリアとなり、全国で初めて街中のどこでも5G通信が体験できる街区となった。

この華強北の治安を守るのが華強北派出所だが、この華強北派出所も5G通信を利用したスマート交番になった。

2020年7月までで、刑事事件の発生率は昨年よりも16.5%、強盗事件の発生率は52%減少した。

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▲深圳市の華強北歩行街。電気関係の商店が集まり、中国の秋葉原と呼ばれる。しかし、スケールは秋葉原の数倍はある。

 

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▲5G通信を活用した華強北派出所。スマート交番と呼ばれる。

 

通報内容はテレビ通話。警官全員で共有

華強北歩行街には、5Gポリスボックスが設けられ、事件を目撃した人は、ここから通報することができる。公安側の担当者とテレビ通話で結ばれ、通報者の話はすべて録画され、関係する警察官に共有をされる。警察官は、どこからでも端末を使って、通報の録画を見ることができる。

電話による110番通報では、通報者が警察官の顔を見ることができないため、慌ててしまい、通報内容が乱れがちだ。しかし、顔が見える通報では、警察官が通報者を落ち着かせることで、通報内容を整理することができる。

また、110番通報では、通報センターの担当者が通報内容を整理し、警察官に連絡をするが、この過程で、逮捕につながる情報が抜け落ちることもあり、通報者の生の声を現場の警察官が聴けるということが検挙率の向上に寄与している。

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▲華強北歩行街に設置された5Gポリスボックス。無人時でも、テレビ通話で通報をすることができるようになっている。

 

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▲テレビ通話で市民からの通報を受ける警察官。電話の通報と異なり、顔が見えるため、通報者が落ち着いて、話を整理して伝えることができる。

 

ドローン、4K白バイ、スマホが警官の武器

捜査の武器となっているのは、ドローン、白バイ、スマートフォンだ。4Kカメラを搭載したドローンが巡回し、地表の監視を行い、事件発生時には犯人の車などを追跡する。また、白バイにも4Kカメラが搭載され、リアルタイムで映像を転送する。さらに該当の防犯カメラからも映像が転送される。

このような映像はすべてネットワーク化され、センターに集約され、必要な映像を現場の警察官の端末にリアルタイムで転送する。

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▲街角の各所には、4K防犯カメラが設置され、センターでリアルタイムモニターされている。

 

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▲センターでは、各所の防犯カメラ、交通監視カメラの映像を処理している。人工知能により、異常発生は自動通知されるが、人による目視監視も行われている。事件が発生すると、このセンターで映像を選択して、警察官にリアルタイム共有する。

 

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▲白バイにも4Kカメラが搭載されている。映像はリアルタイムでセンターに転送され、追跡など必要な場合は、全警察官にリアルタイム共有される。

 

犯行は防犯カメラで、ドローンと白バイで追跡

この5G捜査は次のように行われる。華強北である強盗傷害事件が起こった。二人の男が、ある女性のハンドバックを奪おうとし、抵抗されたためナイフで刺したというものだ。しかし、この犯行そのものが、街頭の防犯カメラに写っていた。

指揮センターでは、すぐに事件発生を察知し、全警官のスマホに通知。ドローン班は現場にドローンを向かわせ、白バイ隊がすぐに出動し、現場に向かった。犯人は車に乗って逃走したが、その車種をすぐに把握、ドローンと白バイによる追跡が行われた。

この様子は、白バイカメラから映像がセンターに転送され、センターではナンバーの割り出しと逃走経路の予測を行う。

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▲5G捜査がどのように行われるかを、実際の事件に基づいて再現した深圳市公安作成のビデオ。市内の路地で、二人組の男が女性のハンドバックを強奪しようとして、抵抗されたためナイフで刺すという強盗傷害事件が発生した。

 

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▲この事件そのものが防犯カメラ映像により、センターで把握されていた。人工知能により、人の密集度が通常でない映像の通知が表示される。それを人が見て、事件であるかどうかを判断する。

 

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▲すぐに全警察官のスマートフォンに緊急通報が一斉配信される。

 

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▲犯人は乗用車に乗って逃走。複数の防犯カメラを繋ぎながら、犯人が乗り込んだ車を特定したセンターでは、ドローンを使った追跡を開始した。その情報に基づいて、白バイが包囲を始める。

 

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▲白バイ映像からナンバーを確認。同時にナンバー検索がされ、所有者の氏名などが割り出される。

 

ARグラスで人混みから犯人を発見

その後、犯人は車を乗り捨て、群衆の中に紛れて逃走しようとした。防犯カメラの映像から、犯人の顔情報を取得し、現場の警察官はARグラスをかけ、逃走の可能性が高い場所を巡回。犯人がARグラスに移るとアラートが発せられる仕組みになっている。同時にセンターでは、顔情報を照合し、犯人の実名、身分証番号などを割り出していた。

ARグラスにより、群衆の中に紛れている犯人を発見し、逮捕に至った。

深圳市によると、いまだに人口が増え続ける深圳市では、2万人の警察官が不足をしているという。人手不足はすぐには解消できないことから、5Gによる効率化を進めて、人手不足問題を解決していきたいという。

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▲防犯カメラの映像から、顔部分を抜き出し、身分証データベースと照合。追跡中に犯人の氏名、身分証番号などが判明。

 

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▲白バイに囲まれた犯人は、逃走車を放棄し、人混みに紛れ込んだ。警官がARグラスを取り付けて人混みを捜索。顔認識により、犯人の顔を検知する。

 

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▲犯人を発見し、最後は警察官により確保された。

 

 

建築デザインの美術館になる深圳。テック企業が続々と社屋を建設中

深圳にテック企業が続々と社屋を建設している。深圳はテクノロジー都市であり、さらに大型の土地開発計画が進んでいるからだ。テック企業の社屋は、いずれもユニークな設計デザインのもので、深圳が設計デザインの美術館になろうとしていると深圳買房計画が報じた。

 

BAT、携帯電話メーカーが深圳に大集合

深圳が建築の美術館になろうとしている。すでに中国テックジャイアントBAT(百度、アリババ、テンセント)が拠点を置き、そこにバイトダンス、小米(シャオミ)も深圳本部を建設することを発表した。また、中国4大携帯電話メーカー、ファーウェイ、シャオミ、OPPOvivo、さらにアフリカでトップシェアを持つ伝音が集結することになる。これに、深圳発の企業が加わり、深圳はテック企業社屋の見本市になろうとしている。

 

BATが集合する后海

最も有名なのは、后海金融本部基地と呼ばれる地域だ。后海というのは深圳湾のこと。深圳湾から臨んだ后海金融本部基地の写真は、深圳を表す写真としてよく使われる。ここにはBAT3社のオフィスがある。

后海に隣接した高新技術産業園に、百度百度国際ビルがある。高さ181mのビルが2棟あり、39階建てのビルで5000人ほどが働いている。ここには百度華南本部があるだけでなく、国際本部、研究センターなどが入っている。壁面のユニークなデザインは、二進数をモチーフにしたものだという。

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后海にはアリババ国際運営本部がある。積み木を積み上げたようなユニークなデザインだ。宅配便の配達パッケージをイメージしたものではないかとも言われている。

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テンセントは元々深圳で生まれた企業。高さ248mの南棟と194mの北棟が、3本の腰巻で結ばれるというユニークなデザインのビルがテンセントグローバル新本部だ。テック企業のビルを数多く手掛けている米国の設計事務所NBBJが設計をしている。

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テンセントとNBBJは、8万人から10万人が暮らす未来都市「未来テック島」を建設する計画も発表している。年内に着工される予定だ。

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ザハ・ハディッドが設計したOPPO深圳本部

深圳湾に面した華橋城南部の海浜地区には、深圳湾超級本部基地がある。ここには携帯電話メーカーのOPPOが深圳本部を建設予定だ。設計は、日本の新国立競技場のコンペで有名になったザハ・ハディッド建築事務所が担当をしている。高さ200mで総工費は70億元だという。

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新開発地区にvivoの深圳本部

宝安中心区では、携帯電話メーカーのvivoが深圳本部の建設を始めている。高さ150mで2024年に完成予定。この地区は、これから開発される地区だが、面白いことに、深圳湾の入江を挟んで、テンセントの未来テック島が臨める。あと5年ほどで、この地区はまったく様変わりすることになる。

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社屋デザインの見本市になる深圳

この他、世界的に有名な建築事務所が中国企業のビルの設計を行い、深圳にはさまざまな建築物が登場することになり、設計事務所の展示会のようになっていく。深圳は再び変わろうとしている。

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iCarbonX:スティーブン・ホール建築事務所

 

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天音:ゲルカン・マルグ建築士事務所

 

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ZTE:オーレ・シェーレン建築事務所

 

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万科:ペリ・クラーク・ペリアー・アーキテクツ

 

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国電子:ゲンスラー建築設計事務所

 

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信金融:ゲンスラー建築設計事務所

 

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恒力投資集団:ゲルカン・マルグ建築士事務所

 

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恒大集団:華東建築設計研究院

 

 

WeChatへの大転換を可能にしたテンセントと創業者のポニー・マー

まぐまぐ!」でメルマガ「知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード」を発行しています。

明日、vol. 037が発行になります。

 

テンセントのSNS「WeChat」(微信、ウェイシン)は、中国の小売業を大きく変えました。SNSでメッセージがやりとりできるだけでなく、スマホ決済「WeChatペイ」により、アリペイとともに、中国を一気にキャッシュレス先進国に押し上げました。

WeChatの中からは、さまざまな生活サービスが利用できます。鉄道や飛行機のチケット予約購入、ホテルの予約、水道光熱費の支払い、フードデリバリーの注文、ECの利用。生活周りのサービスであれば、ほとんどが利用でき、支払いもWeChatペイでできてしまいます。

SNSと決済が結びついたというのは大きなことでした。まず、WeChatの利用者同士で、簡単にお金を送金しあえるようになりました。これにより、中国版ユーチューバーが職業して成立するようになりました。面白い動画を公開して、WeChatで投げ銭を送ってもらえるのです。

さらに、デジタルコンテンツがビジネスになるようになりました。音楽や映画、書籍を購入するのにもWeChatペイで支払えばワンタップです。中国はコンテンツを平気で違法コピーすることで有名な国でしたが、それは購入したくても、近くに店がない、ネットでのデジタルコンテンツは決済手段がないことも大きく影響していたのです。ゲーム内課金なども大きなビジネスになってきています。

さらに、SNSとECを組み合わせて、ソーシャルECという新しいECを生み出すプラットフォームになりました。ソーシャルECというのは、同じ商品を購入する人をSNSで探して、まとめ買いをすると安く購入できるというものです。ピンドードーなどが、WeChatと連携してソーシャルECサービスを行っています。

 

また、WeChatの機能を大きく拡張したのがミニプログラムです。ミニプログラムの実態は、WeChat専用のウェブアプリですが、ストアからダウンロードするアプリとは異なり、ダウンロードしてインストールする必要がありません。さらに、サービスへのアカウント登録の必要もありません。WeChatのアカウントがそのまま使われる仕組みです。また、決済が必要なサービスでも決済方式を登録する必要はありません。自動的にWeChatペイで支払われます。

つまり、アプリと違って、初めて使うサービスでもすぐに開いて、利用し、決済ができることから、ファストフードやカフェ、小売店がミニプログラムを公開し、新規顧客の獲得ツールとして利用をしています。

街を歩いていて、喉が乾いたら、「付近のミニプログラムを検索」を実行すると、位置情報から近隣に店舗があるサービスのミニプログラム一覧が表示されるので、その中からカフェなどを選んで、モバイルオーダーしておくことができます。店舗に到着した頃には、飲み物ができあがっていて、支払いも済んでいるので、受け取ってすぐに飲むことができるのです。

このようなミニプログラムがすでに240万件以上存在し、中国の小売業の仕組みを大きく変えています。

 

アップルは、iOS14からApp Clipsという仕組みをスタートさせます。これは、実装方法は異なりますが、ミニプログラムとほぼ同じコンセプトものです。iPhoneでもWeChatミニプログラムと同じように、初めてのカフェでも、AppleIDで自動ログインし、ApplePayで決済をし、モバイルオーダーできるという世界が始まろうとしています。それほどWeChatミニプログラムはポテンシャルを持っている機能なのです。

といっても、日本に住んでいる限り、WeChatを使う必要性はないので、実際に使っている方はそうは多くないでしょう。インストールすることはできますが、身分証(パスポートなど)を使って、本人確認をしなければ、ほとんどのサービスは利用できないので、あまり意味がありません。

WeChatを理解するには、日本のLINEをイメージしてください。LINEのようにメッセージをやり取りできるというのがWeChatの基本です。LINEも当然、WeChatをよく研究していて、LINE PayやLINE Miniアプリを始めています。

 

ところで、中国のデジタル事情に詳しい人は、WeChatについて、ひとつの疑問を持たれていると思います。それは、テンセントという企業は、もともとPCベースのSNS「QQ」で大成功した企業でした。多くの人が複数アカウントを持っていましたが、それでもアカウント数は8.5億人を超えるというお化けのようなサービスでした。スマートフォンが登場する前の中国では、ほぼ全員がQQを使っていたといっても過言ではありません。

これがスマートフォンが登場すると、スマホに対応したQQモバイルアプリが登場します。ところが、テンセントは同時期に、ほぼ同じSNSである「WeChat」を開発して、サービスを開始したのです。結局、それまでの膨大な資産を持っているQQを捨てて、成功するかどうかもわからないWeChatに大転換をしました。なぜ、このような思い切った転換をしなければならなかったのか。

 

この疑問に明快な答えはありません。しかし、結果から見れば、あの時、WeChatに大転換をしたことでテンセントは、中国テック企業のトップに登り詰めることができました。QQにこだわっていたら、そこそこの規模の企業ではあったかもしれませんが、もっと事業規模は小さかったかもしれません。

また、ゲームが好きな方は、テンセントは世界最大のゲーム企業であることをご存知かと思います。いったい、QQやWeChatのようなSNSとゲームはどう関わっているのか。この辺りもわかりづらいところです。

そこで、今回は、テンセントの歴史をたどりながら、テンセントのビジネスがどのように進化をしてきたのかをご紹介します。そうすると、WeChatというSNSがいかに大きな影響力を持っているかもわかってくるはずです。

今回は、テンセントとWeChatをご紹介します。

 

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テンセントWeChatにEC機能。ミニプログラムに続き、小売業を変革するか?

テンセントのSNS「WeChat」にEC機能が搭載された。商品さえ用意できれば、誰でも簡単にオンラインショップが開店できる「小商店」だ。物流、在庫、決済などのバックオフィスツールはすべて提供されるため、個人でもショップが開店できる。ミニプログラムに続いて、小売業を大きく変えていく機能になる可能性があると彭湃新聞が報じた。

 

アリババの領土に侵入したWeChat小商店

中国のテック企業の2巨頭であるテンセントとアリババには、明確な国境のようなものがある。テンセントはECを持っていない。SNS「QQ」「WeChat」を核にし、ゲームやストリーミング、スマホ決済に進出をしてきた。ECは京東、拼多多などに出資をし、支援をするにとどまっている。

一方、アリババはSNSを持っていない。EC「淘宝」(タオバオ)を中心にして、スマホ決済などに進出をしてきている。

ところが、テンセントが本格的なECの機能をWeChatに搭載した。両社の勢力地図に大きな変化が起こるかもしれないと話題になっている。

 

EC領域に起きている「ソーシャルEC」と「ライブコマース」という大きな変化

ECの領域では近年大きな変化が起きている。それはソーシャルECの登場とライブコマースの成長だ。

ソーシャルECは「拼多多」(ピンドードー)、「雲集」(ユインジー)などが相次いで米ナスダック市場に上場するなど勢いがある。拼多多はSNSでまとめ買いの仲間を募って購入する方式、雲集は会員になると自分のオンライン店舗を持ち、販売もできるというもの。さらに、コロナ禍により営業ができなくなった個人商店が、ライブ配信を利用して、店舗の商品を売るライブコマースが広がっている。

「ソーシャルEC」「個人店舗」「ライブコマース」が、大きなトピックとなり、タオバオや京東など大手のECも、対応した機能を公開している。

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▲テンセントが始めたソーシャルEC「小拼拼」。購入者を募って、まとめ買いをすると安くなる仕組みで、SNS「WeChat」との連携もスムース。ソーシャルEC「拼多多」とよく似たコンセプトになっている。

 

WeChatにソーシャルEC、ミニ店舗機能搭載

テンセントが始めるWeChatのEC機能は2つ。ひとつは「小拼拼」(シャオアピンピン)。SNS「WeChat」を利用して、同じ商品を購入する仲間を募り、まとめ買いをするソーシャルECで、明らかに拼多多とよく似ている。

もうひとつの「微信小商店」(シャオシャンディエン、微信はWeChatの中国名)だ。これは、個人であっても、商品さえ用意すれば簡単にオンラインショップが開けるというもので、雲集を意識していると言われる。

小商店をオープンの際、テンセントの担当者はこう宣言した。「これからは、下町で小さな食料品店を開いている60歳の女性から、自分のブランドを確立したい20代のデザイナーまで、身分証明などがあるだけで、月間アクティブユーザーが12億人もいるWeChat生態圏の中でショップを開くことができるのです」。

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▲WeChatが提供する「小商店」。商品さえ用意できれば、すぐにショップが開店できる。店舗ミニプログラムのひな形も用意され、決済、在庫管理、販売管理、物流管理などのシステムも提供される。現在、手数料などはすべて無料になっている。

 

個人でもWeChatの中にショップを簡単に開店できる

簡単に言えば、大きな消費者チャネルとして成長してきたWeChatミニプログラムの小売店用ひな形が用意してあって、そこに売りたい商品の情報を登録していくことで、自分の店舗のミニプログラムを作成できるというものだ。

WeChatミニプログラムは、SNS「WeChat」の中からアクセスできるアプリ、ウェブアプリのようなもの。ネイティブアプリに比べて、「インストール不要」「アカウント登録不要」(WeChatアカウントが流用される)「決済方法登録不要」(WeChatペイが利用される)という利点があるため、初めてそのショップを利用する時でも、すぐに利用ができるため、新規顧客の獲得ツールとして、さまざまな企業に活用されている。

このミニプログラムを利用して、WeChat内に自分の店舗を持つことができるというものだ。

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▲小商店の店舗側管理画面。物流、決済、在庫の管理システムやマーケティング分析ツールなども無償提供されている。競争力のある商品さえ用意できれば、路面店よりも開店しやすい。

 

小商店はライブコマースにも対応

さらに大きいのが、ライブ配信に対応していることで、ライブコマースが簡単にできる。単なるライブ配信ではなく、視聴者が購入操作をすると、購入処理ができるようになっている。

また、商品管理、販売管理、決済、物流管理などの仕組みも整っており、利用者は自分で商品さえ用意できれば、すぐに店舗運営が始められる。

現在、企業は同時に50店舗まで、個人商店主は5店舗まで、個人は1店舗を開店することができる。商品点数は現在のところ1500点まで出品できる。

また、現在のところ、開店手数料、販売手数料などは必要なく、無料で開店できることも話題になっている。

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▲WeChat小商店で日用雑貨を販売するショップ。ライブコマースが可能になっており、個人でも商品さえ揃えばショップを手軽に開店できる。

 

ミニプログラムに続き、小売業を大きく変えることになるか?

テンセントは2005年に拍拍網というCtoC型のECをスタートさせて、失敗した経験がある。アリババのタオバオの前に敗れたのだ。それ以来、自社でECを運営するのではなく、EC企業に投資をし、テンセントはそれを支援することで、アリババ包囲網を構築してきた。

今回の小商店も、自社でECを運営するというよりは、ECを運営したい企業や個人に運営のための環境を提供するというものになっている。「ソーシャルEC」「個人店舗」「ライブコマース」といった近年話題の機能を網羅しており、何より、WeChatミニプログラムは、毎日4億人の人が利用し、WeChatミニプログラム経由の流通総額は累計8000億元(約12.3兆円)を突破している。これらのことから、小商店の数は短期間で増加すると見られており、今後のECの勢力図を大きく書き換える台風の目となる可能性もある。

 

ネズミの侵入、従業員のマニュアル違反も人工知能が検出。リモート店舗管理の悠絡客

深夜の飲食店に排水口から侵入するネズミ。マニュアル違反行為をする従業員。このようなものを人工知能が検知をするという悠絡客のシステムが広がっている。特にコロナ休業期間に導入をし、コロナ後に備え得るという例が増えていると彭湃新聞が報じた。

 

夜中に飲食店に侵入するネズミを感知する人工知能

7月9日から11日まで、上海で世界人工知能大会が開催された。その中で注目されたのが、人工知能技術を使って、飲食店、洋品店、薬局、自動車販売店、コンビニなどの業務を総合的に支援する「悠絡客」(ヨウルオカー)が大きな話題となった。

顔認証、行動分析、商品識別など単機能のシステムというのは今までにいくつもあるが、悠絡客のようにすべての機能を統合してワンパッケージにしているシステムは多くはない。

また、その機能のひとつとして、夜中に排水溝からあがってくるネズミを自動検知する機能があり、多くの飲食店が頭を悩ましている問題であることから話題になっている。

 

実は難しい夜間侵入するネズミの画像検知

飲食店のネズミ問題は、多くの飲食店関係者が触れたがらない問題だ。排水溝の構造上、その飲食店がいくら衛生的にしていても、ネズミは外から侵入してくる。その地域全体で対応しなければならないが、なかなか簡単ではない。多くの飲食店が、一通りの対策をし、「お客さんの前にさえ出てこなければ」それ以上の対策を講じようとしない。

画像解析によって、ネズミの侵入を感知することも、技術的に簡単ではない。ネズミは厨房の照明を落としている暗闇の中で出てくるし、ネズミ自体が灰色で認識しづらい。

悠絡客の沈修平CEOは、彭湃新聞の取材に答えた。「ネズミの認識率を上げるのは簡単ではありません。今、無数の人工知能企業が登場していますが、高い精度で厨房環境でネズミを識別できる技術を持っているところは多くありません。私たちの技術では、ネズミの進入場所を特定できる他、厨房内での経路も記録できます」。

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▲今までなかった深夜に侵入するネズミの検知。照明が落とされる中で、灰色のネズミを検知し、行動経路を追跡する画像解析技術の開発は簡単ではなかったという。

 

店舗をリモート管理するところから出発した悠絡客

2009年に創業した悠絡客は、飲食店の店内カメラを提供する事業から始まった。オーナーや本部が店舗に行かなくても、店舗内の作業の様子をリモートで見られるというものだった。

しかし、顧客からさまざまな要望があり、人工知能開発チームを設立、現在では顔識別、人体識別、行動分析、物体識別などの技術を開発してきた。

大きな機能のひとつは顔識別と人体識別により顧客を把握することだ。顔識別により顧客を識別し、データベースと照合し、会員であるか、購入額が多い顧客であるか、どのような嗜好を持っているのかなどを接客前に知ることができる。さらに、人体識別で店内での行動を追跡し、店内でどのようなルートを取るかを記録し分析することができる。また、商品を物体識別することも可能で、どの顧客がどの商品棚の前に止まるかなどの分析もできる。

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▲店舗を訪れた来店客の服装、姿勢などを検出し、移動経路などを自動追跡する。来店客の行動分析に使われる。

 

従業員のマニュアル違反行為も自動検出

また、従業員の分析もできる。どの従業員がどのような動きをしているかを記録することができる。

また、姿勢の分析も可能で、特に飲食店の厨房ではしてはならない動作をしていないかを識別し、記録することができる。「床に落ちたものを拾う」「調理器具などで排水溝の詰まりを直す」「手袋をしないでで顔や首を触る」「帽子やマスクを着用していない」。このような動作があった場合、自動的に記録される。管理者は後に該当する従業員に映像を見せて注意をすることができる。

また、物体識別も可能で、火災時の避難通路に一時的でもものを置くなどの行為も識別ができる。

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▲従業員の姿勢を画像解析し、床のものを手で拾うなどのマニュアル違反行為を検出する。

 

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▲消防法などの関連で、荷物を置いてはいけない場所に荷物が置かれることも検出して通知する。


人工知能を使ってリモート管理。現在165万店舗に導入

つまり、悠絡客がやっていることは、オーナーや本部による監視の自動化だ。複数の店舗を管理しなければならないオーナーや本部は、リモートカメラで管理をせざるを得ないが、営業時間中カメラの前に座っていることはできない。そこで、悠絡客は人工知能技術を使って、顧客が望む把握したい行動を識別できるように進化をさせてきた。現在では、飲食店、洋品店などを中心に、165.6万店舗に導入されている。

 

コロナ休業期間に人工知能導入工事が増えている

悠絡客が人工知能技術を導入し始めた2014年ごろは、導入を進めても、「ほんとうにそんなことできるの?」という反応がほとんどで、顧客企業に人工知能技術とは何かという実例を見せるところから始めなければならなかった。2018年頃から、テンセントやアリババ、百度が盛んに人工知能技術を活用するようになり、その辺りから風向きが変わったという。

新型コロナの感染拡大では、顧客企業の多くが休業をすることになったが、休業期間中にコロナ後を見越して、悠絡客のシステムを導入する動きもあり、売上は昨年とほぼ同じで、今年2020年の下半期は昨年よりも成長できる見込みが立っているという。

悠絡客は、2013年から米国のベンチャーキャピタルKPCB、中国の東方富海、理成基金、用友幸福基金、招商局などの投資を受けていたが、2018年にテンセントの大型投資を得てからは、テンセントと協調してビジネスを展開している。

テンセントは、WeChatペイを核にして、小売店のビジネスをデジタル化する「スマート小売」を進めていて、悠絡客のシステムもこのスマート小売のひとつの要素として、今後も拡大していくことが見込まれている。

 

 

リモートで生き物を育てる「クラウド飼育」。ザリガニ養殖が大人気

コロナ禍で外出が制限されると、クラウド飼育が人気となった。市場に出かけて自分の目で品質を見極めて飼うことができなくなったため、直接、農場の豚や牛、鶏を予約購入して、飼育している様子をライブ配信などで確認するというものだ。安心をして食材が買えるだけでなく、娯楽としても人気が出ていると文化産業評論が報じた。

 

クラウド飼育。人気は豚

ライブ配信を利用した「クラウド飼育」がにわかに盛り上がっている。農園などで飼育されているザリガニ、鶏、ミツバチ、豚、牛、お茶の木などを購入し、成長過程をライブ配信などで見ることができる。出荷できる段階になると、食品として加工され、自宅に配送されくるという仕組みだ。

また、猫や犬などのペットをクラウド飼育できるサービスも登場している。自分のペットを購入し、提供業者が代理で育ててくれるというものだ。所有者は、スマートフォンのテレビ通話などを利用して、「自分のペット」と遊ぶことができる。

新型コロナの感染拡大が厳しかった今年2020年2月に盛り上がり、EC「タオバオ」のライブ配信では、このようなクラウド飼育系のライブ配信が昨年同時期の4.75倍にも増加した。もっとも多かったのが、豚で、それに猫、犬が続いた。

 

1トンのザリガニを事前予約。クラウド飼育で完売

今年の4月1日、湖北省のザリガニ養殖で有名な洪湖市のザリガニ養殖業者、王文娟さんは、新型コロナの感染拡大で、ザリガニ需要が低迷したことをなんとかするため、タオバオで飼育の様子をライブ配信することにした。すると、飼育している1トンのザリガニに予約が入った。出荷できる時期に、予約購入をした人にすべてのザリガニを宅配して、完売となった。

王文娟さんにとっては、事前に売上金が入る、完売するということから、事業を継続する目処が立った。購入者にとっては、買い物や外食にいくことも控えているところに、養殖のすべての過程が見られる王文娟さんの試みは安心をして購入をし、食べることができる。

王文娟さんは、現在でも週1回のライブ配信をして、ザリガニの養殖の様子を伝え、養殖しているザリガニは予約で完売する状態になっている。

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▲ザリガニの養殖をする王文娟さんは、養殖の様子をライブ配信してみたところ、予約注文が殺到。1トンのザリガニが完売した。現在でもクラウド養殖を続けている。

 

豚をグループ購入、牛乳も人気

同じく4月には、大手飼育企業もライブ配信に乗り出した。豚の飼育を行っている網易未央は、EC「Tmall」で、豚の飼育のライブ配信を始めた。子豚を買うことができ、その育つ過程をライブ配信で逐次見ることができる。出荷できる状態になると、豚肉に加工されて宅配されてくる。

中には、豚一頭の肉は多すぎることから、自然に消費者同士がSNSで仲間を募り、まとめ買いをするようになっている。そのグループでは、豚が育つ様子を眺めながら、おしゃべりをするのが楽しみのひとつになっている。

5月になると、金典牛乳がEC「京東」でライブ配信を始めた。消費者は、牛を選んで、その名前をつけることができ、月に1回ライブ配信でその牛の現在の状況を見ることができる。そして、その牛からとった牛乳が送られてくるというものだ。

6月には、牛乳メーカー「認養一頭牛」が、ゲームと組み合わせたクラウド飼育を始めた。このゲームでは、牧草を与えるなどして牛を育てることができる。牛が育つと、ポイントがたまり、認養一頭牛の乳製品と交換ができるというものだ。30万人以上がこのゲームを楽しみ、実際の農場の様子を届けるライブ配信には100万人以上が視聴した。

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▲認養一頭牛は、クラウド飼育とゲームを組み合わせた。ゲーム内で牛を育てると牛乳がもらえる。また、実際の牧場の様子もライブ配信されている。

 

作業は農家が代行するクラウド農園

江蘇省揚州市李典鎮田橋村では、クラウド農園を始めた。近隣の市民に畑を貸し出すが、作業そのものは農家が行い、畑の様子は24時間ライブ配信されている。市民が休日に借りた畑を訪れ、農作業を体験することもできる。

市民にとっては、すべての生長過程が見られることから、安心をして野菜を食べることができ、休日には農業体験もすることができる。この活動に参加した900戸の農家にとっては、収入が年に2000元から4000元増えることになる。

 

クラウドでペットを飼う「雲吸」

また、犬や猫といったペットの飼育を代理で行い、ライブ配信やテレビ電話で自分のペットと遊べるというサービスも人気になってきている。昼間留守にすることが多い都市住人は、なかなかペットを飼うことができないからだ。

中国ではペットを可愛がることを「吸う」と表現する。顔を近づけて、頬ずりする様子が、まるで飲み物を飲んでいる姿に見えるからだ。そのため、このようなペットをクラウドで買うことは「雲吸」と呼ばれている。

お手軽すぎるという批判的な目で見る人もいるが、飼育環境が用意できない人でも気軽にペットを飼うことができ、ペットファンが広がることや、飼育が困難になっても飼育放棄に結びつかないことなどを評価している人もいる。

このようなクラウド飼育は、ビジネスとしてはまだまだ小規模であるものの、話題性があり、今後も広がっていくと見られている。

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▲中国でも以前から、猫や犬の動画をアップして、それを楽しむという人が多くいた。このような楽しみ方は「クラウド猫」=「雲吸猫」などと呼ばれる。ペットを飼育代行して、ライブ配信などで楽しめるというサービスが登場している。

 

 

デリバリー騎手が信号機、道路の破損を報告。成都市が始めたユニークな試み

成都市でユニークな試みが始まっている。配達中に、信号機や道路の故障、破損などを発見したら、スマホから写真を撮って報告するというものだ。騎手には副収入となり、市政府はコストダウンをすることができる。医薬系企業なども協力をし、他都市への展開も始まろうとしていると四川文明網が報じた。

 

デリバリー騎手が信号機の故障などをスマホで報告

成都市でユニークな試みが始まっている。中国の都市では、大量の宅配便配送、フードデリバリーのスタッフが電動バイクなどで走り回っている。バイクで配送することから「騎手」と呼ばれることが多い。この騎手に、信号機、道路の破損などを探してもらおうという試みだ。

信号機の故障に気がついた騎手は、スマートフォンのミニプログラム「豊行侠」を開く。位置情報は自動的に記録されるので、「信号機故障」「路面破損」「マンホール蓋の破損」などから問題を選び、写真を撮影するだけだ。報告は1分以内で終わる。これで、内容に応じたポイントが貯まり、ポイントに応じた奨励金、奨励品を受け取れる。

また、半年ごとにポイントの順位をつけ、上位50名に入ると数百元から数千元の賞金がもらえる。

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▲デリバリー騎手が配達中に信号機などの故障を発見したら、報告をするだけでポイントが貯まり、奨励金が支払われ、騎手の副収入になる。

 

医薬系企業、社区にも広がる協力の輪

豊行侠(豊な交通のボランティアのような意味)は、成都市の中心地の地区委員会が開発したもので、区域内で業務をする5社の宅配便企業、フードデリバリー企業に協力を依頼している。合計約400人の騎手が参加をしている。騎手たちは、1日平均で40件の配達をし、走行距離は100kmになる。

また、他の企業もこの試みに協力をしてくれている。市内の医薬品企業4社は、共同して、豊行侠に参加する騎手たちに、夏の暑さを防ぐ冷感剤を提供している。市の衛生サービスセンターでは、騎手たちに無料の健康診断を提供している。新都第三病院では、騎手たちに無料で救急救命訓練を提供している。いくつかの社区(町内会組織)では、騎手たちのために休憩所を設置し、水や充電器、救急医薬品などを提供している。

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▲豊行侠ミニプログラムの画面。位置情報は自動的に入力される。問題のタイプを選んで、写真を撮影するだけで報告できる。作業は1分以内に終わるという。

 

デリバリーという業務に、市政府、企業、民間が「相乗り」

騎手の仕事の報酬は、決して高いものではない。わずかとは言え、騎手の副収入になっている。また、成都市政府側では、交通設備の管理負担が軽減し、定期巡回の頻度を下げられるため、奨励金を支払っても、コスト削減につながっている。

また、成都の夏は厳しく、騎手が熱中症などで体調を崩す例も少なくない。医薬品企業が冷感剤などを騎手に提供するのは、騎手の健康を守ることでもあり、騎手が街中で冷感スプレーなどを使うことで、医薬品の宣伝にもなっている。

配達というひとつの業務に、地方政府、企業、社区が相乗りをすることで、誰もが得をする仕組みになっている。

この豊行侠の試みは、他の都市にも広がろうとしている。