中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

デリバリー騎手が信号機、道路の破損を報告。成都市が始めたユニークな試み

成都市でユニークな試みが始まっている。配達中に、信号機や道路の故障、破損などを発見したら、スマホから写真を撮って報告するというものだ。騎手には副収入となり、市政府はコストダウンをすることができる。医薬系企業なども協力をし、他都市への展開も始まろうとしていると四川文明網が報じた。

 

デリバリー騎手が信号機の故障などをスマホで報告

成都市でユニークな試みが始まっている。中国の都市では、大量の宅配便配送、フードデリバリーのスタッフが電動バイクなどで走り回っている。バイクで配送することから「騎手」と呼ばれることが多い。この騎手に、信号機、道路の破損などを探してもらおうという試みだ。

信号機の故障に気がついた騎手は、スマートフォンのミニプログラム「豊行侠」を開く。位置情報は自動的に記録されるので、「信号機故障」「路面破損」「マンホール蓋の破損」などから問題を選び、写真を撮影するだけだ。報告は1分以内で終わる。これで、内容に応じたポイントが貯まり、ポイントに応じた奨励金、奨励品を受け取れる。

また、半年ごとにポイントの順位をつけ、上位50名に入ると数百元から数千元の賞金がもらえる。

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▲デリバリー騎手が配達中に信号機などの故障を発見したら、報告をするだけでポイントが貯まり、奨励金が支払われ、騎手の副収入になる。

 

医薬系企業、社区にも広がる協力の輪

豊行侠(豊な交通のボランティアのような意味)は、成都市の中心地の地区委員会が開発したもので、区域内で業務をする5社の宅配便企業、フードデリバリー企業に協力を依頼している。合計約400人の騎手が参加をしている。騎手たちは、1日平均で40件の配達をし、走行距離は100kmになる。

また、他の企業もこの試みに協力をしてくれている。市内の医薬品企業4社は、共同して、豊行侠に参加する騎手たちに、夏の暑さを防ぐ冷感剤を提供している。市の衛生サービスセンターでは、騎手たちに無料の健康診断を提供している。新都第三病院では、騎手たちに無料で救急救命訓練を提供している。いくつかの社区(町内会組織)では、騎手たちのために休憩所を設置し、水や充電器、救急医薬品などを提供している。

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▲豊行侠ミニプログラムの画面。位置情報は自動的に入力される。問題のタイプを選んで、写真を撮影するだけで報告できる。作業は1分以内に終わるという。

 

デリバリーという業務に、市政府、企業、民間が「相乗り」

騎手の仕事の報酬は、決して高いものではない。わずかとは言え、騎手の副収入になっている。また、成都市政府側では、交通設備の管理負担が軽減し、定期巡回の頻度を下げられるため、奨励金を支払っても、コスト削減につながっている。

また、成都の夏は厳しく、騎手が熱中症などで体調を崩す例も少なくない。医薬品企業が冷感剤などを騎手に提供するのは、騎手の健康を守ることでもあり、騎手が街中で冷感スプレーなどを使うことで、医薬品の宣伝にもなっている。

配達というひとつの業務に、地方政府、企業、社区が相乗りをすることで、誰もが得をする仕組みになっている。

この豊行侠の試みは、他の都市にも広がろうとしている。

 

 

アリババ数学コンペで出題されたメビウス麺の問題。世界で5万人が参加

2020年のアリババグローバル数学コンペティションが終わり、8カ国73人の選手が入賞した。金メダル受賞者には2万ドルの奨学金が授与されたと機器之心Proが報じた。

 

第2回アリババ数学コンペがオンラインで開催

アリババグロバール数学コンペティションは、昨年に続いて今年で2回目になる。今年は新型コロナの感染拡大を受けて、すべてがオンラインで開催された。出題は中国語と英語の両方で行われた。予選には73カ国の約5万名が参加をし、516名が決勝に参加した。決勝は4月18日、約6時間のオンライン試験という形で開催された。

入賞した73名のうち、最も多いのは北京大学の学生で20名、次がマサチューセッツ工科大学の12名、プリンストン大学の5名、スタンフォード大学の3名、ケンブリッジ大学の3名、中国科学技術大学の2名となった。また、清華大学香港大学シンガポール国立大学の学生も入賞した。

最年少は19歳だったが、最年長は36歳だった。

ゴールドメダル受賞者には、2万ドル(約210万円)の奨学金、シルバーメダル受賞者には1万ドル、ブロンズメダルには5000ドルの奨学金、優秀賞には証書が送られる。また、上位入賞者は、数学の天才として各方面から注目をされることになる。

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▲入賞者は多くが中国人。しかし、在籍大学は世界中に散らばっている。中国人がいかに海外の大学に留学をしているかがわかる。

 

メビウスの幅広麺を切り分ける問題

ほとんどの問題が、数学の専門的な内容で、一般の人には難易度が高すぎるが、予選の最初の1問は、私たち一般人にも理解できる内容のものだ。ただし、正解をするのは簡単ではない。ご紹介をしてみるので、興味がある方は挑戦してみていただきたい。

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▲予選で出題されたユニークなメビウス麺の問題。100回ねじったメビウス麺を中心から切ると、どのような状態になるかを問うたもの。

 

麺は中華の伝統グルメだが、そのスタイルは常に進化をしている。幅広麺を作っている店主が、工夫をして、輪のようにつなげるという幅広麺を考案した(図1)。

そして、いつものように、輪になった幅広麺を中心から切り分けた。すると、幅が半分になった2つの輪ができあがる(図2)

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店主は思い立って、幅広麺を作るときに、ねじり(180度回転)を加えてみた。これは数学でいうメビウスの帯に相当する(図3)。

これだけでは面白くないので、ねじりの回数をさらに加えていき、2回ねじり、3回ねじり、7回ねじりのものを作った(図4)。

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それから、最初にしたように、麺の中心で切り分けると、不思議なことが起きる。

このメビウス麺を売り出してみると、あっという間に人気商品となった。すると、ある人が、100歳の老人をお祝いするために、100回ねじった麺を作ってくれという注文を出した。

 

問題:この100回ねじった麺をいつものように、中心線で切り分けると、どのような状態になるだろうか。

A:200回ねじれた帯がひとつと、問題文では触れていない構造の帯がひとつ

B:200回ねじれた帯が2つと、問題文では触れていない構造の帯がひとつ

C:200回ねじれた帯がひとつと、ねじれていない帯がひとつ

D:200回ねじれた帯が2つと、ねじれていない帯がひとつ

E:以上のいずれでもない

 

1回ねじったメビウスの帯を切り分けると、4回ねじられた(つまり2回転)大きな1つの輪になることはよく知られている。では、100回ねじった帯ではどうなるかという問題だ。2回ねじり、3回ねじりの帯を実際に切ってみて、メビウスの帯の性質を発見していく必要がある。難問ではあるが、メビウスの帯の法則性を発見すればあっさりと解ける。ぜひ、挑戦してみていただきたい。

 

デジタル界の無印良品になりたい。中国製造業を変えた小米(シャオミ)創業者「雷軍」

まぐまぐ!」でメルマガ「知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード」を発行しています。

明日、vol. 036が発行になります。

 

シャオミの日本での知名度もだいぶ上がってきました。Xiaomi Japanが設立されて、スマートフォンやスマートウォッチ、炊飯器などの日本販売を始めているからです。

特に、日本でも発売が予定されているスマートウォッチ「Miスマートバンド5」は、OLEDを使いながら、4490円と手頃な価格で、うまくすると、中国本国と同じようにヒット商品になる可能性があります。日本では、中国製というとアレルギー反応を起こす人がまだまだ多いことや、テック好きではない人の間でのシャオミの知名度はまだ高くないことが障害になりますが、デジタルデバイスとしては買って損はないと思います。

また、中国ではドラえもんとコラボした「Mi10青春版ドラえもん限定版」が発売され話題になっています。背面や壁紙、アイコンにドラえもんをあしらったスマホで、子どもたちは目の色を変えて欲しがります。しかも、シャオミらしいのは、このようなコラボモデルでも手を抜かず、OLED、50倍ズーム、大容量バッテリーを搭載したミドルハイクラスのスペックになっていることです。これが2799元(約4万3000円)という価格なのですから、子どもだけでなく、大人でも買う人が出てくるでしょう。日本でも発売したら、かなりの数が売れるのではないでしょうか。

 

また、シャオミは炊飯器「米家」を日本でも発売していて、中国では発売後2年で100万台が売れるというヒットになっています。この「米家」の開発責任者は、IH炊飯器「おどり炊き」を開発した三洋電機の内藤毅氏です。三洋電機を退職後、中国でIH炊飯器を開発したのです。

この後継機種の炊飯器が日本でも販売されていますが、デザインが素晴らしい。シャオミは白物家電のデザインに革命を起こしたと言っても過言ではありません。

見ていただければわかりますが、本体は白一色で、ボタンが3つしかありません。「予約」「開始」「取消」の3つだけです。しかも白いボタンなので、目立ちません。時刻表示は大きめのLED表示ですが、本体のカバー下に埋め込まれているため、通常時は見えなくなります。つまり、使っていないときはほとんど白一色の箱になってしまうのです。

 

日本の家電製品は、多くが大量のボタンをつけ、大きな液晶表示がさまざまな情報を表示します。一般的な炊飯器の液晶画面には、時刻表示の他に「もちもち」「ふっくら」「玄米」「おかゆ」などの文字が常に表示されています。

最近では、このような過剰なボタン、過剰な表示をうるさく感じる人も増えていますが、日本の白物家電のデザインレベルはなかなか向上しません。

日本の白物家電は、高度成長期に10社近い大手メーカーが競い合う形で成長してきたため、売り場での競争が激しかったのです。売り場で目立たないことには埋もれてしまいます。そこで本体に、「こんな機能」「あんな機能」のボタンをつけたり、大きな表示をつけたりして、一目見て多機能であることがわかるようなデザインが求められました。それが、ゴテゴテしたうるさいデザインになっているのです。

では、米家は単機能なのかというと、そんなことはありません。お米、おかゆ、玄米はもちろんのこと、ケーキ、ヨーグルト、蒸し煮なども作ることができます。このような操作は、すべて専用アプリの中から行うのです。専用アプリには、米家で作れるさまざまな料理のレシピなども読めるようになっています。

つまり、本体のデザインはすっきりさせて、多機能はスマホから操作をする。これにより、モダンなキッチンに置いても、生活感がでない新しい白物家電の世界を追求しています。

 

シャオミは、テレビも中国市場でトップクラスの売り上げを上げ、インドでもシャオミのテレビがヒット商品になっています。これもデザインはシンプルに、複雑な操作はテクノロジーを使うというのが基本コンセプトになっています。

シャオミのテレビには、小愛同学という音声アシスタントが搭載されていて、基本的な操作は声で行います。「テレビをつけて」「テレビを消して」などだけでなく、「1時間後にテレビを消して」「朝7時にテレビをつけて」なども可能です。さらに「ヒーローものの映画を探して」と言って、リストが表示されたら、そこから「◯◯という女優が出演しているものは?」「無料で見られるものは?」と音声でどんどん絞り込んでいくこともできます。また、視聴中にも「30秒早送り」「5分巻き戻して」「54分12秒までジャンプ」という音声による命令ができます。

もはや番組表という概念は薄れ(内蔵はされている)、起動すると、過去の視聴履歴から算出された7つ程度の番組が表示されます。その中にはストリーミングサービスのものもあれば、テレビ放送されるものもあります。その中から選ぶだけなので、リモコン自体も実にシンプルです。十字キーの他は、ボタンが5つついているだけで、チャンネル番号のボタンなどありません。いわゆる成熟したスマートテレビになっていて、これも日本で発売されたらヒット商品になる可能性を秘めています。

 

シャオミの功績は、中国のものづくりの考え方を変えたことです。シャオミ以前の中国の製造業は、品質を後回しにして安くつくることを考えていました。当時の製造技術では高品質のものを作るのは難しいので、できるだけ安く作り、価格競争で勝負しようという戦術でした。当時、よく言われた「中国の人件費は驚くほど安いから」というのが中国製品の安さの理由のすべてではありません。戦略的に低価格を追求していたのです。

しかし、いくら安くても必要最低限の品質は確保しなければなりません。これも簡単なことではありません。そのため、「粗悪な中国製品」「安かろう悪かろう」のイメージが定着することになりました。

 

2010年にシャオミが創業した時、すでに中国でもiPhoneが人気となっていましたが、iPhoneのような品質の高い製品を作ることは中国には難しいと考えられていました。そこにシャオミが登場するのですが、シャオミは高品質を追求するのではなく、価格性能比を最大化することを考えました。

これは簡単そうに見えて、難しいことです。一般には、高品質の製品イメージからスタートして、でも、それでは価格が高くなりすぎるので、「削れる部分は削って」コストダウンをしていきます。でも、それでは必ず製品のバランスに歪みが生じてしまいます。

日本メーカーの初期のスマートフォンは、この罠に陥っていました。高性能のスマホを設計して、そこから「削れる部分を削っていく」やり方をしたのです。しかし、スマホは数々のチップ、センサーが協調して動作する仕組みになっています。日本メーカーの初期のスマホは、スペックだけを見ると決して悪くないのに、バランスが悪いために、使ってみると画面はカクカクし、バッテリーはカイロのように発熱するというものになってしまいました。スマホ時代になって、日本メーカーが総崩れになったのは、この時に消費者の信頼を失ってしまったからです。

 

一方で、シャオミは、設計の段階から価格性能比を最大化させることを狙いました。自分たちの製造技術、消費者が必要とする機能、部品の価格などを総合的に考えて、価格と性能の間のスイートスポットを探るのです。

創業者の雷軍(レイ・ジュン)は、「80/80の法則」がシャオミにはあると言います。これは「消費者の80%を80%満足させる」ということです。ですから、シャオミの製品に尖った先進機能は搭載されません。炊飯器をスマホから操作するというのも一見先進的な機能に見えますが、それが多くの消費者を満足させる方法であり、しかも本体につけるボタンやLEDの数が減るので、価格を抑えることにもなるのです。

 

価格性能比の最大化を狙うと言っても、なかなかピンとこないかもしれません。雷軍は、たびたび「無印良品のものづくり」に言及し、「デジタル界の無印良品になりたい」と発言しています。

無印良品のさまざまな製品も、既存の商品から不要な部分を省いたというのではなく、いったんゼロに戻して、ほんとうに必要な機能はなんであるかを考え、それを実現するのに必要な素材、製造法を採用するという手法をとっています。その結果、無駄な機能は採用されないので、価格も抑えられます。雷軍は、MUJIに憧れ、MUJIのものづくりをよく研究し、それを中国のデジタル製品の製造業に適用したのです。

そう言われてみると、MUJIの店頭に、シャオミ製品が陳列されていても、ほとんど違和感がありません。炊飯器の「米家」など、知らなければ、MUJIの製品だと言われれば信じてしまうかもしれません。

シャオミは、単なるスマホメーカーではなく、中国のスマホ市場を開拓したパイオニアであり、中国の製造業を大きく転換させてきました。今回は、その創業者である雷軍をご紹介します。

 

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続け書きOK、空中に書いてもOK。漢字入力の効率を一気に高めた「百度インプットメソッド」

アルファベットに比べて漢字入力の効率が悪いのは仕方のないことだ。しかし、百度は新しいインプットメソッドで入力の効率を高めるさまざまな工夫に挑戦している。指やペンを離さずに続け書きをしても認識してくれる連写、空中に指で文字を書いても認識してくれる機能などを搭載したとIT那些事児が報じた。

 

漢字圏が悩む漢字変換問題

ITの発展に、日本や中国が不利である要因が漢字だ。漢字は一文字で意味を持ち、アルファベットに比べて情報集積度が高い。そのため、少ない文字数で意図を伝えることができる。これは読む時には効率的だが、その代わり、入力(書く)のに手間がかかる。アルファベットであれば、キーボードから直接入力できるのに、漢字はそこに変換というプロセスをかませなければならない。

 

意外に難しい拼音入力

そこで入力方法にさまざまな工夫が必要になる。中国では一般に拼音入力が使われる。拼音とは漢字の音をローマ字で表したものだ。しかし、この拼音をマスターするには、かなりのトレーニングが必要だ。例えば「山」はShan、「上」はShangとgがつく/つかないの違いがある。

「中国人はこの微妙な発音を使い分けている」と言われるが、現実はそうでもない。中国で、きれいな標準語を話す人というのは意外に少なく、多くの人が方言やなまりを持っていて、中国人でも微妙な発音の違いがわからない、気にしていない人がたくさんいる。また、使い分けている人であっても、意識をしているわけではなく、自然に身についた発音をしているだけで、いざ「gがつく、つかない?」と尋ねられると、少し考えなければわからないというという人が大半だ。

ちょうど、日本の鼻濁音「が」のような具合だ。標準語(東京方言)では、「学校が」と発音した時の最初の「が」は破裂するように強く発音するが、最後の「が」は鼻を通し柔らかく発音する。しかし、話している本人は意識はしていない。また、こういう発音の使い分け自体が次第にされなくなっている。

中国の拼音も同じで、実際の発音とのずれが大きくなってきているのに、それを意識してスペルを覚えていかなければならない。ある程度の教育を受けた人は拼音入力をするが、苦手と感じている人も多い。そのため、最近の拼音入力は多少の間違いは類推をして漢字を表示する機能がついていることが多い。

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▲使われている入力法は拼音入力が多いが、音声入力、手書き入力を使う人も多い。特に40歳以上では手書き入力がいちばん多くなっている。「中国サードパーティーインプットメソッド市場専門分析2019」(易観)より作成。

 

音声入力、手書き入力も意外に多い

その他、五筆字形入力法というものもある。これは漢字のパーツを縦棒、横棒、左払い、点、鉤の5つのパーツに分けて、入力したい漢字がどのパーツで成り立っているかを指定して入力するものだ。

確かに、会話を速記できるほど入力速度は速くなるというが、覚えるまでにたいへんな労力がかかる。そのため、五筆入力を使うのはごく一部の限られた人だ。また、漢字の筆画をひとつひとつ指定していく筆画入力法もあるが、これも使うのがごく一部の人だ。

また、音声入力を使う人も結構多い。近年は、音声認識機械学習が使われるのが当たり前になり、誤認識率が低くなっている。そのため、音声入力を使う人はけっこう多い。また、文字を指で書いていく手書き入力もある。

統計を見ると、最も多いのは拼音入力で、それに音声入力が続く。30歳以下の若い世代は多くが拼音入力か音声入力だ。

 

手書き入力を大きく効率化した百度

一方で、40歳以上の人に限ると手書き入力が多い。しかし、手書き入力は簡単だが、入力に時間がかかるというのが難点だった。

百度がリリースしている「百度インプットメソッド」では、この手書き入力を大きく改善した。手書き入力の新しい機能として、畳写、連写の2つがあり、さらにβ版だが凌空手写というユニークな機能も内蔵されている。

 

指を離さず、どんどん書いていける

畳写は、1文字を手書きし、その文字が消える前に次の文字を上書きして書くことができるというものだ。楷書で書く場合は認識率が高く、単語辞書も参照されるため、スマートフォンなどで書く場所が1文字分しか取れない場合でも、どんどん手書き入力していくことができる。手書き文字入力で、1文字入力した後に待つ時間がなくなる。

さらにすごいのが連写だ。これは文字を連続して書いてよく、そこから文字を判別してくれる。正式な草書で書く必要はなく、ただ筆画をつなげて、指やペンを離さず書いてしまえばいいのだ。書くスペースが広ければ、次の文字を横に書いてもいいし、畳写と同じように前の文字に上書きをしてもいい。

手帳にメモを取るようなラフな感覚で、どんどん入力していくことができる。

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▲連写は、指を離さず続けて文字を書いても認識をしてくれる。正式な草書ではなく、適当な続け書きでも認識率は高い。おそらく単語などからも推測をしているのだと思われる。しかも、前の文字の上から重ね書きをすることもできる。手書き入力としてはかなり効率が高くなる。

 

空中に書いた文字も認識してくれる

さらに、現在はβ版だが、凌空手写という機能もある。これはインサイドカメラを利用し、指で空中に文字を書いて入力するというものだ。1文字書き終わったら、手のひらを開くと文字が認識される。連写を空中で行う感覚だ。

認識率は、今のところ、正確に入力できることの方が少ないレベルだ。しかし、中国人は習慣的に、人に文字を教える時に、指で空中に書いたり、相手の手のひらに指で書いたりする。凌空手写は、このような習慣に近く、1文字や2文字を入力するのであれば、意外に便利かもしれない。

日本では、文字入力はフリック入力が登場して以来、大きなイノベーションは起きていないが、中国では漢字という不利な条件があるため、いまだに入力方法がさまざまに工夫をされ、進化をしている。このような連写、凌空手写が可能になったのも機械学習の成果のひとつだ。文字入力の世界も、今後まだまだ大きく変わっていくことがあるかもしれない。

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インサイドカメラを使って、空中に指で文字を書いて入力する「凌空手写」。掌を開くことがリターンキーの働きをする。文字が確定され、指の軌跡がクリアされる。

 

 

滴滴出向の自動運転ロボタクシー。すでに起きている7つの小さな問題

滴滴出行上海市でロボタクシーの試験営業を始めている。現在は、事前登録をしたモニターのみ乗車可能だが、メディアの体験取材が集中している。滴滴出行では、2030年までに100万台のロボタクシーを投入する計画を発表しているからだ。しかし、メディアの体験取材では、ロボタクシーのおかしな挙動も発見できるとAutoLabが報じた。

 

滴滴出行が上海で始めたロボタクシーに体験取材が集中

中国でロボタクシーの導入が各都市で始まっている。百度長沙市で、滄州市で、文遠知行(WeRide)が広州市で、そして、滴滴出行上海市で始めた。百度と文遠知行は、誰でも予約をすれば利用ができる「全面開放」を行っている。滴滴出向は、事前にモニター登録をした人のみが利用できるが、いずれかの段階で全面開放され、そのまま営業運行されることになる。滴滴出行では、2030年までに100万台のロボタクシーを導入する計画だ。

各メディアでも、ロボタクシーに乗車する取材を行なっている。AutoLabの記者では、このような報道などで公開された動画を丹念に検証をした。すると、さまざまな問題が起きていることがわかる。

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▲滴滴出向のロボタクシー。2030年には100万台を投入する計画。

 

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▲中央電子台の央視新聞では、複数の記者が試乗体験レポートを報道している。

https://weibo.com/2656274875/J8xRXAUiz?type=comment

 


[今日环球] 上海:自动驾驶载人测试 记者探访试乘现场 | CCTV中文国际

▲中央電子台国際チャンネルでも、滴滴出向のロボタクシーの試乗レポートが報道されている。

 


Ride Hailling Experience with WeRide Robotaxi

広州市で全面開放をした文遠知行(WeRide)のロボタクシー試乗体験レポート。

 


自动驾驶真的来了?2020体验全新百度Baidu Robotaxi

長沙市で全面開放をした百度のロボタクシー試乗体験レポート

 

1)ロボタクシーは無人タクシーではない

ロボタクシーは中国では「無人打車」と表現されることが多いが、L4自動運転(一定条件下での自動運転)であるために、運転手は必要になる。自動運転の条件を外れた場合には手動運転をする必要があり、また、不測の事態には運転手が対処するためだ。

しかし、滴滴ロボタクシーには、運転手の他に助手席にも人が座っている。エンジニアが座り、さまざまな技術的な測定を行なっているためだ。多くの人が無人だと思って乗ると、すでに2人も乗っているので少しびっくりする。

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▲ロボタクシーは無人ではない。試験営業中であるため、運転席には監視員(必要があれば手動運転する)、助手席にはエンジニアが乗車をしている。

 

2)すぐに出発できない

一般のタクシーであれば、乗って行き先を告げればすぐに出発することができる。しかし、ロボタクシーはすぐに出発できない。まず、試験営業中であるため、滴滴出行の責任範囲についての説明があり、同意書にサインをしなければならない。それからQRコードを読み込むと、事前に登録しておいた目的地などが読み込まれる。

ここからルート計算が行われるが、混雑状況なども加味されるため1分近くかかる。乗車してから出発するまでは数分ほどかかるのだ。

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▲ロボタクシーはすぐには出発できない。乗車の同意書の説明を受けて、署名をする必要がある。

 

3)ロボタクシーは右折が好きで、左折が嫌い

なぜかロボタクシーは右折が好きで、左折が嫌いなようだ。右折が過剰に多いルートを検索する。中国は右側通行なので、右折は易しいが、左折をするときは対向車に注意をしながら曲がらなければならない。左折の方が難易度が高いのだ。

表示されるルートでも、右折をして、大通りを通るルートが検索されていて、かなりの遠回りになっている。

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▲モニター右下の手書きのような図形が、システムが選んだ走行ルート。なぜか右折ばかりし、遠回りになっている。試乗レポートを見ても、難易度の高い左折をすることはきわめて少ない。

 

4)安全運転すぎる

現在、滴滴出向のロボタクシーは、標準時速40kmで運行をしている。しかし、不思議な挙動をする。前方に先行車のいない状況では、時速50kmまで速度を上げ、その後、自然減速し、時速30km程度で巡航をする。乗客としてはもう少し速く走ってほしいと感じてしまう速度だ。道路状況や交差点までの距離を考慮して、時速30kmの安全速度を保っているのかもしれない。

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▲標準速度は時速40kmに設定されているが、多くの場合、前方車両がいなくても時速30km前後で走行する。

 

5)ときどき人が運転する

自動運転中、運転手はハンドルの下方に手を伸ばし、いつでもすぐにハンドルを握れる態勢でいる。

しかし、時々、ハンドルを握って、明らかに人間がハンドル操作をしているのだ。エンジニアの説明によると、この日は雨が降っていて、路肩の水たまりを踏んで、水しぶきがあがる。すると、レーダーの精度が落ちるため、運転手にハンドルを握るように指示が出るのだという。

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▲運転席の監視員は、通常はハンドルから手を離しているが、路肩の水たまりを踏んで水しぶきが上がると、レーダー精度が低下したアラートが通知され、監視員はハンドルを握った。

 

6)けっこうギリギリを攻める

交差点で直進するとき、対向車が左折をすると、経路が交錯することになる(日本の右折にあたる)。日本でも中国でも、直進車が優先になっているが、中国の場合、隙があれば左折車が先に曲がってしまうことがある。

この現実を、ロボタクシーの人工知能がどう捉えているのかはわからないが、対向の左折車とかなり接近をした場面があった。

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▲交通マナーを守らない車両に対しては、自動運転はまだ対処が必要なようだ。交差点を直進した時、左折をする対向車が、こちらを優先せず、前を横切るように強引に左折をした。実際には余裕があったが、モニター上は接触しそうになっている。ガイドラインに乗って、下から上に直進しているのがロボタクシー。その右上に斜めになっているのが、上からきた対向車で、ロボタクシーの前を強引に左折をした。

 

7)違法駐車車両を追い越すのに、センターに問合せ

前方の路上に荷台を牽引したスクーターが放置駐車してあった。しかし、ロボタクシーは障害物と認識をしてしまい、その手前に停車をしたままになってしまった。車両と認識をすれば、車線変更をして追い越すのだが、障害物の識別ができないため安全停止をしたようだ。

結局、エンジニアがタブレット経由でシステムに、その障害物が「故障停車中の三輪車」と入力することで、ようやくロボタクシーは追い越しを始めた。この間、40秒、ロボタクシーは停車した。

滴滴自動運転の韋峻青CTOによると、現在、ロボタクシーの人工知能は、自動車、バイク、自転車、歩行者を見分けることができるが、荷台を牽引している車両については形状も複雑で、まだ判別が難しい面があるのだという。

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▲前方に、荷台を牽引しているスクーターが放置駐車してあった。システムの人工知能は、この物体が何であるかを判別できず、ロボタクシーは停止してしまった。助手席のエンジニアが、路上障害物であるということをタブレットから入力して、ロボタクシーは再び出発した。

 

実用に向けて走り始めた中国のロボタクシー

このような小さな問題は続出している。しかし、当然ながら、乗客の安全や走行に影響を与えるような大きな問題は起きていない。このような小さな問題を修正しながら、誰でも乗車できる「全面開放」、正式営業、100万台投入と段階を進んでいくことになる。先行する百度、文遠知行も、刺激を受けてサービス提供地域を拡大していくことも予想される。2030年、タクシーはもう人が運転するものではなくなっているかもしれない。

 

カバーつきの安全撮影ドローン。多彩な自動追尾撮影が可能なHover 2

カバーがついて安全に利用できるドローンHover Camera Passportを開発して話題になったゼロゼロロボティクスが第2世代にあたるHover 2の出荷を始め、各メディアで話題になっていると極客之選が報じた。

 

子どもでも安全に扱えるフレームつきドローン

Hover Camera Passportは、子どもでも安全に利用することができる4K自撮りドローン。4基のプロペラは、フレームで囲まれているため、人やモノに当たっても損傷を与えることはない。あらかじめ、自分の姿(服装など)を撮影し、登録すると、その人を自動追尾して4Kカメラで撮影をしてくれるというものだ。

その第2世代目のドローンとなるHover 2が、キックスターターで10万ドルの資金調達目標のところに100万ドル以上が集まるという盛況ぶりで、出荷が始まっている。

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▲手で持って、滑らすように放して、離陸させる。安定すると、対象者を追跡するようになる。

 

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▲メッシュフレームがついているので、プロペラでケガをする可能性が抑えられている。誰でも安全に扱えるドローンになっている。

 

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▲上部につけられた360度回転するカメラ。

 

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▲2つ折にできる設計になっているため、持ち運び時はコンパクトに畳める。

 

Hover 2は、自撮りと撮影の2つの形態に変身

Hover 2の特徴は、2種類のドローンに変身できることだ。メッシュフレームを装着すると、顔を登録した人物を追捕撮影する自撮りドローンとして利用でき、フレーム型の軽量フレームを装着すると通常の撮影ドローンとして利用できる。

また、Hover 2では自律飛行の機能が大幅に改良された。SLAM、3Dマッピングなどの技術が採用され、周辺の障害物を自動認識し、周辺地図を作成していくことで、障害物を回避して飛行する。


Intelligent Tracking

▲Hover 2のインテリジェントトラッキング撮影のデモ映像。追跡対象が、物体の影に隠れても、移動経路を予測して追跡をしている点に注目。

 

自撮りでは、フロント、サイド、バックの3種類で自動追尾

メッシュフレームを装着すると、顔認証登録した人物を自動追尾して撮影をする自撮りドローンとなる。

追尾の仕方は「フロント」「サイド」「バック」と3種類が選べる。フロントでは追尾対象を正面から、サイドでは平行に、バックでは後方から追尾撮影が可能だ。

また、映画の撮影手法を模した追尾方法を取り入れることもできる。「サージ」では対象からゆっくりと離れながら撮影、トラックショットでは動いている対象を下がりながら、リコチェットでは対象に近寄って、近くを回りながら離れていきながら、オービットでは対象を中心に回るように撮影する。

このような撮影方法は、専用のスマートフォンアプリから設定をすることができる。

軽量フレームに変えると、通常の撮影ドローンとして使える。軽量であるため、自撮り状態では19分の飛行が限界だったが、軽量状態では23分に伸び、風の影響も受けづらくなる。

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▲対象者を自動で追跡をし、撮影を行う。

 

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▲対象者を背後から自動追跡する。樹木などの障害物を認識し、自動で回避して飛行する。

 

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▲対象者は、服装などで認識をし、「前から」「横から」「後ろから」撮影する方法が選択できる。

 

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▲撮影時には、「サージ」(対象から遠ざかる)、「リコチェット」(側を通過)、「トラックショット」(一定距離を保ちながら後退)、「オービット」(周囲を旋回)などが簡単に設定できる。

 

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▲自動で障害物を認識し、障害物を避けて飛行する。

 

創業者はフェイスブックツイッターなどで働き、北京で創業

このゼロゼロロボティクスを創業したのは、杭州市生まれの王孟秋(ワン・モンチウ)。北京航空航天大学に入学し、カーネギーメロン大学修士号を、スタンフォード大学で博士号を取得した。

その後、フェイスブックに入社しビッグデータ分析などの業務に携わった。2009年に帰国をし、アリババ研究員、アリクラウドでサイエンティストとして働く。その後、ツイッターに移り、リコメンドエンジンを開発。これにより、タイムライン広告の精度が大きく上昇した。

2014年3月に、スタンフォード大学の同級生だった張通とともに、北京で「北京零零無限科技」を創業、2500万ドルの投資資金を得て、最初の製品であるHover Capmera Passportを開発した。その後、米国カリフォルニア州クパチーノに「ゼロゼロロボティクス」を設立し、キックスターター経由でHover 2のプロジェクトをスタートさせた。

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▲創業者の王孟秋。フェイスブックやアリババ、ツイッターなどで働き、北京でゼロゼロロボティクスを創業した。


高度化するドローンを「みんなのもの」に引き戻したHover 2

撮影ドローンは、次第に大掛かりになり、航空法などの規制もあり、だんだんと専門家でなければ扱えないものになっていった。しかし、Hoverは子どもでも安全に扱うことができる。撮影方法もアプリで簡単に設定することができ、ビジュアルプログラミングができる小学生であればじゅうぶんに使いこなすことができる。

中国では、ネット動画メディアが続々とHoverを使い始めている。記者が一人で現場に行き、自分で撮影し、取材をする。Hoverは、専門家のものになりかけていたドローンを、再び「みんなのもの」に引き戻そうとしている。

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▲フラッシュもついていて、家族の自撮り写真を撮るという使い方も提案している。

 

 

中国の女性役員比率は10.9%と低い。鍵は新興業種と女性CEO

中国は元々の社会主義の考え方から女性の社会進出は進んでいる。しかし、高収入役職や役員比率ではまだまだ男女格差がある。一方で、テクノロジー、メディア、金融などの新興の業種や女性CEOの企業では女性役員比率が高くなる傾向があるとIT程序猿的科技営が報じた。

 

女性の社会進出は進んでいる中国

中国では女性も働くのは常識になっていて、この点では男女の不平等は存在しない。専業主婦というのは、ごく限られた富裕層のみだ。社会主義の考え方では、男女の不平等もあってはならないこととされているため、女性も労働をして、社会に貢献することが求められる。決して民主的な考え方からではないが、結果として、中国は女性の社会進出という点では進んでいる。

 

高い地位ではまだ残る男女格差

しかし、企業役員など社会的に高い地位を占める女性割合は少ない。伝統的な観念の中では、特に農村では、男性が労働、女性が家事という感覚が残っていて、女性に高い教育は不要、重要な地位には就かないという傾向が残っている。

「2020中国職場性別報酬差異報告」(BOSS直聘研究院)によると、男女別の報酬を多い方から少ない方に並べると、報酬が少ない25分位点の報酬男女格差は14.3%と少ないものの、報酬が多い50分位点以上になると30%を超える。報酬が多い地位であるほど、男女格差が現れてくる。

「2019デロイト中国上場企業女性役員調査報告」(デロイト中国研究センター)によると、上場企業の女性役員割合は10.9%で、欧州の平均である22.6%、米国の14.2%から見ても大きく劣っている。

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▲収入を高い方から低い方へ並べた場合の男女の収入。収入が高い(90分位点)では収入の男女格差が大きい。一方で、収入が低くなるとともに(25分位点)男女格差は小さくなっていく。

 

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▲各国の上場企業の女性役員の比率。アジア圏の中では女性の社会進出が進んでいる中国だが、女性役員比率は欧州に比べると大きく立ち遅れている。

 

テック企業や女性CEO企業では女性役員比率は高い

しかし、中国の経済成長を牽引しているテクノロジー、メディア、金融といった分野の女性役員比率は、平均を上回っている。

また、女性がCEOを務めている企業に限ると、女性役員比率は33.2%にもなる。今後、中国がより成長をするには、上場企業での役員の女性比率が上がっていくことが重要になる。

IT程序猿的科技営では、今後活躍が期待されている女性役員を紹介している。

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▲テック、メディア、金融など成長が著しい業種では、女性役員の比率が高くなっている。

 

海思半導体、何庭波総裁

海思半導体は、2004年10月に創業した企業で、前身はファーウェイ集積回路設計センター。ファーウェイ関連の半導体設計、製造を行う。何庭波総裁は、北京郵電大学で、通信半導体物理の修士号を取得している。ファーウェイの役員も兼任している。

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テンセントマルチメディアラボ、劉杉総経理

清華大学電子工学系を卒業し、南カルフォルニア大学で博士号を取得した。2017年にテンセントにサイエンティストとして入社し、データ圧縮転送の分野で大きな実績を残している。また、マルチメディアデータを効率よく通信する手法を開発し、テンセント会議、テンセントビデオ、テンセントゲームクラウドなど数々のプロダクトに活かされている。

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百度、李瑩副総裁

東北大学計算機応用系で修士号を取得し、2004年に百度に入社。百度地図の総経理も務めている。入社以来、自然言語処理ビッグデータ人工知能などの研究開発に関わってきた。

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アリクラウド智能戦略部、劉湘雯総経理

南開大学情報管理系で修士号を取得。アリババのアリクラウドで、スマート市場、公共サービスなどを担当している。

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網易ゲーム事業部、満娟総経理

南京大学電子工学系を卒業し、中国科学院で修士号を取得。網易のスマホゲーム「楚留香」のプロデューサーでもある。2001年に網易に入社し、スマホゲーム領域で活躍し、網易のゲーム部門を成長させた立役者。

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AWS、張文翊副総裁

ワシントン大学電子工学系を卒業し、インテルに入社、中国市場責任者となる。その後、アマゾンに転職し、キンドル中国の責任者を経て、アマゾン本社の副総裁、アマゾン中国の総裁などを務める。

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マイクロソフト中国クラウド人工知能事業部、趙暁燕高級研究開発総監

清華大学の電子工学系を卒業し、カナダのマギル大学で博士号を取得。マイクロソフト中国のクラウド人工知能関連の研究開発チームの総責任者を務めている。

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マイクロソフトアジアインターネット工学院、李松研究開発総監

清華大学の電子工学系を卒業し、メリーランド大学で博士号を取得。広告の分析を行い、広告表示アルゴリズムの設計開発チームの責任者を務めている。

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Hulu中国研究開発センター、諸葛越総経理

清華大学計算機科学系を卒業し、ニューヨーク州立大学修士号スタンフォード大学で博士号を取得している。Huluグローバルの副総裁も兼任している。

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シーゲイト中国、孫丹総裁

北京工業大学計算機科学系を卒業。シーゲイトグローバルの副総裁も兼任している。

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